メス猫が避妊手術をする時の流れと術後に飼い主が気をつけておきたいこと

猫 避妊手術

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メス猫を新しい家族として迎えて早々に直面するのが「避妊手術」です。健康な愛猫にメスを入れることに疑問を感じるのは当然のこと。獣医師から避妊手術をすすめられ、手術の予約もした後で、急に不安になる飼い主も多いです。だけど獣医師には相談しづらい…。

「避妊手術ってどんな手術?」
「避妊手術って危なくないの?」
「避妊手術後はどうすれば良いの?」

次々に湧き上がる疑問や不安を、今から一緒に解決していきますので、これから避妊手術の猫を飼っている飼い主さん、考えている飼い主さんはぜひ参考にしてみてください。

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メス猫の避妊手術の流れ

知っておきたい避妊手術の基礎知識

メス猫に行う不妊手術を「避妊手術」と言います。具体的には、全身麻酔して下腹部を切開し、卵巣だけを摘出するか、卵巣と子宮を摘出します。術後は1〜2泊ほど入院します。

避妊手術を行う理想的な時期は、初回の発情を迎える前、およそ生後5〜6か月頃とされていますが、個々の状態(成長状態や全身状態など)によって多少の違いがあります。

手術費用は動物病院によって様々ですが、ほとんどが15,000円〜30,000円の範囲内です。市区町村によっては助成金制度がある場合もあります。

まずは信頼できる動物病院を見つける

避妊手術は、それほど難しいものではありませんし、獣医師にとって日常的に行う慣れた手術でもあります。一般的な動物病院であれば、避妊手術は大抵行えます。

とはいえ、やはり不安はあると思いますので、馴染みの動物病院がない場合は、動物を飼っているご近所さんやブリーダーさんにオススメの動物病院を紹介してもらうと良いでしょう。

避妊手術を予約する

一般的に避妊手術は予約制です。子猫を家族に迎えたら、健康診断や予防接種のために動物病院に行くと思いますので、その際に避妊手術について獣医師に相談すると良いでしょう。

避妊手術の理想的な時期から逆算すると、遅くとも生後5か月になる前までに獣医師に相談すること。そして避妊手術を決意したら、予約しましょう。

避妊手術の当日までの流れや注意事項

手術当日までの一般的な流れや注意事項を紹介します。実際には、避妊手術を予約すると、獣医師から注意事項の説明がありますので、それに従ってくださいね。

術前検査

手術に耐えられる健康状態であることを確認するために、術前検査(血液検査やレントゲン検査など)を行います。

術前検査のタイミングは動物病院によって様々で、手術の数日〜数週間前に行う場合もあれば、手術当日に行う場合も。両方のタイミングで行う場合もあります。

絶食

胃の中に食べ物があると、全身麻酔中に嘔吐して、吐物によって窒息したり誤嚥性肺炎になったりする危険性があります。ついては、遅くとも手術の12時間〜18時間前から絶食させます。

絶飲

絶食と同じ理由で、遅くとも手術の6時間前から絶飲させます。

手術の流れ

ほとんどの動物病院は、手術当日の午前中に猫を預かって、昼休みなどの手が空いた時間に手術しますので、手術に飼い主が立ち会うことはできません。

預けている間、愛猫はどうなっているのかと不安になると思いますので、具体的な手術の流れを紹介しますね。なお手術自体は15〜30分程度で終わります。

【手術の流れ】

  1. 点滴の針(留置針)を刺入する
    点滴の針を前肢の静脈に刺入します。
  2. 麻酔前投与薬の投与
    猫を落ち着かせるとともに、麻酔薬の投与量を減らす効果がある(=猫の体の負担や副作用のリスクが減る)注射薬を投与します。あわせて術中・術後の痛みのコントロールや感染症の予防などを目的とした薬(鎮痛剤や抗生剤など)を注射します。
  3. 麻酔導入薬の投与
    本格的な麻酔(吸入麻酔)のためには、口から気管チューブを挿入する必要があるため、まずは猫に眠ってもらう必要があります。そのために麻酔導入薬として鎮静作用のある注射剤を留置針経由で投与します。
  4. 気管チューブの挿入(気管挿管)
    麻酔導入薬によって猫が眠ったら、吸入麻酔と呼吸確保のために、気管チューブを口から気管に挿入します。
  5. 吸入麻酔の開始とモニターの装着
    気管チューブに吸入麻酔の機器をつなげて、本格的な麻酔である吸入麻酔薬と酸素を送り込みます。モニターを装着して全身状態(心電図、脈拍数、血圧、体温、呼吸数など)を常時チェックします。
  6. 剃毛と消毒
    切開する部位(下腹部)の毛をバリカンで剃ってから、消毒薬を塗布して術部を消毒します。
  7. 腹部の切開
    下腹部を縦に数cm切開します。
  8. 卵巣と子宮の切除
    切開したところから専用の器具を入れて、お腹の外に子宮とふたつの卵巣をお腹の外に引っ張り出します、血管を止血処置してから、卵巣と子宮(もしくは卵巣のみ)を切り取ります。
  9. 縫合
    お腹の中に出血がないことを確認してから、傷口を縫合します。
  10. 麻酔を切る
    手術が終わったら吸入麻酔を切って気管チューブを抜き、意識の回復を待ちます。

近年、腹腔鏡手術(ラパロ)も行われるようになりました。小さな切開で手術ができるため、体への負担は少ない手術法ですが、行なっている動物病院が多くなく、費用が高いです。

猫の発情期がいつやってくるかについては、猫の発情期はいつ?飼い主なら知っておきたい猫の発情期対策の記事で詳しく書いています。

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避妊手術後に飼い主が気をつけて見ておきたいこと

退院時点の猫の状態

入院日数にもよりますが、退院時点で、食事はある程度は食べられるようになっています。歩き方はほとんど違和感ありません。傷口を舐めてしまわないように、服帯(傷口を覆う服)か、カラーを装着しています。

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縫合の仕方によって、抜糸が必要な場合と必要ない場合があります。抜糸が必要な場合は、1週間〜2週間後の通院を指示されます。

退院後の注意点

退院後は次のことを守ってください。

  • 猫が傷口を舐めないように注意してください。服帯やカラーは万全ではありません。多頭飼いの場合は、他の猫が傷口を舐めないよう注意することも必要です。
  • 傷の感染を防ぐために、寝床を清潔にしてください。
  • 処方された薬があれば、指示通りにきちんと飲ませてください。
  • 抜糸まで(抜糸の必要がない場合は術後10日ほど)は体を水で濡らさないでください。外出はもちろん禁止です。
  • 帰宅後2日経っても食欲が完全に戻らない場合は、動物病院に行きましょう。
  • ぐったりしている、食欲が全くない、嘔吐を繰り返す、下痢をするなど何らかの異常があれば、すぐに動物病院に行きましょう。

退院後のトラブル

時に退院後にトラブルが発生することがあります。稀なことなので、いたずらにおそれる必要はありませんが、トラブルについて知ることは、万が一の時に適切な対応をするために必要です。ではトラブルの具体例を紹介しますね。

手術の傷が治らない

通常は手術から3日もすると、傷の生々しさは無くなりますが、手術の傷がなかなか治らない場合があります。これは体質による場合と、縫合の仕方に問題がある場合があります。

手術後1週間程度は傷口を毎日チェックしましょう。血や汁や膿が出る、赤く腫れる、熱を持っているなどの異常がある場合は、動物病院に行きましょう。

体調を崩す(呼吸器症状、消化器症状など)

手術の精神・肉体的ストレスが直接的な要因となって体調を崩すこともありますが、もともと持っていた病気(感染症など)が手術のストレスがきっかけで顕在化するケースも多いです。予防は難しいので、何らかの異常に気付いたら動物病院に行くようにしましょう。

亡くなる

稀に手術後に死亡することがあります。その原因は、予見できない個体特有の特殊な反応、もしくは手術の不手際(止血がきちんとできていなくてお腹の中で出血する、手術の際に腸管を傷つけてしまうなど)であることが多いです。

前者はリスク回避が難しいですが、後者は評判の良い動物病院を選ぶことで、ある程度のリスク回避ができます。

避妊手術を避けたほうが良い例

全身麻酔に命のリスクがある場合

全身麻酔に命の危険がある場合(心疾患がある場合、感染症などで体調を崩している場合など)は、避妊手術ができません。避妊手術よりメリットは減るものの、発情の抑制方法は他にもありますので、獣医師に相談してください。

発情中の場合

発情中は避妊手術を避ける獣医師がいます。というのも、発情中は生殖器の血流が増加しているため、手術で大出血を起こすリスクが高いため。ただし、犬と比較して猫はそのリスクがそれほど高くないとして、発情中でも避妊手術する獣医師もいます。

予防接種が済んでいない場合

動物病院には様々な猫がいるため、感染症にかかるリスクがあります。特に手術直後は免疫が低下するため、リスクが高くなります。ついては予防接種が済んでいない場合、もしくは予防接種の効果が出る前(接種後2週間未満)の場合は、避妊手術を避ける獣医師が多いです。

猫の予防接種については、猫の予防接種を知ろう!ワクチンの種類や費用まとめの記事で詳しく書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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まとめ

獣医師にとっては、猫の避妊手術は日常茶飯事なので、慣れてしまって、飼い主の不安や疑問に気付けない場合があります。

この記事で、その不安や疑問が少しでも軽くなったなら嬉しいですが、本当は、手術をする獣医師に不安や疑問を直接ぶつけるのが、一番すっきりする解決法だと思います。

また、そのようなコミュニケーションを通して、獣医師と信頼関係を築いておけば、今後、猫に何かあった時に安心して任せることができます。

忙しそうで気がひけるかもしれませんが、獣医師に悩みや不安をぶつける勇気を持つことが、愛猫ために必要なのではないでしょうか。

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