キラキラとしたビー玉のような猫の目に魅了される人は少なくないですよね。特に色の不思議も魅力の一つでしょう。瞳孔が大きくなったり、小さくなったりするのも気になったりしますよね。
生まれて間もない子猫の目が青い場合は「キトンブルー」と呼ばれています。これは生後二か月頃には本来の色へと変化していくため、この時期特有の色と言えるでしょう。
今回はこの不思議で可愛い猫の目が、猫の気持ちまで表しているというお話です。
猫の気持ちは目を含めた表情でも察する事ができるのですが、今回は猫の瞳孔の秘密について紹介していきます。実は瞳孔は猫が表現したくて動かしているわけではないのですよ。
目次
猫の瞳孔が変化する理由
猫の瞳孔の変化は自律神経が関係しています。皆さんも自律神経ってお聞きになった事があるでしょう。
私たちが自分でそうしようと思ってもコントロールができない事、例えば「眠くなる」「ドキドキする」などという体の変化は自律神経が働いて起こります。
瞳孔もこの自律神経によって大きさが変わるのです。実はこれ、猫も一緒なのですよ。
自律神経とは
自律神経には交感神経と副交感神経があります。この二つの神経がバランスを崩して様々な病気を引き起こす事はご存知の方も多いでしょう。
交換神経と副交感神経は体の同じ器官に対して正反対の働きをする事で体の機能を調節しているのです。
基本的に猫も同じなので、わかりやすいようにいくつか例を挙げてご紹介しましょうね。
【交感神経の働き】
- 瞳孔が大きくなる
- 脈拍が速くなる
- 呼吸運動を促進する
- 血管が収縮する
- 胃腸の働きを抑えるなど
【副交感神経の働き】
- 瞳孔が小さくなる
- 脈拍が遅くなる
- 呼吸運動を抑制する
- 血管が拡張する
- 胃腸の働きの活動が進むなど
猫の瞳孔の仕組み
猫の瞳孔が自律神経によって支配されている事をおわかりいただけたところで、猫の瞳孔がどういう仕組みで動くのかをご説明します。
猫の瞳孔の周りには「瞳孔括約筋」と「瞳孔散大筋」という小さな筋肉が付いていて、それが伸びたり縮んだりする事によって大きくなったり小さくなったりします。
- 瞳孔括約筋
瞳孔を縮める筋肉で交感神経が支配している - 瞳孔散大筋
瞳孔を広げる筋肉で副交感神経が支配している
光の取り込みを調節しやすい瞳孔
猫は夕方や夜に活動する野生動物ですよね。夜に狩りをする時に暗い所では光が少ないので、なるべく多くの光を取り込んで獲物を探しやすくするには瞳孔を大きく開く必要があります。
また、猫の瞳孔が円形ではなく縦長なのは、円よりも効率よく瞳孔を絞る事で目の中に入る光を調節するためなのです。
少しの光を取り込みやすい構造
猫の目の中には「タペタム」と呼ばれる反射層があって、ここに光を反射して網膜に当てることで少しの光でもよく見えるのです。猫の写真を撮った時に目が光って写る事がありますよね。
これは「タペタム」にフラッシュが当たって反射しているのです。猫はご説明したように光を人間より取り込む構造になっていてフラッシュをとても眩しく感じます。
可愛い愛猫の写真を撮らせてもらえなくなってしまったらショックですよね。カメラ嫌いの原因になってしまいますので、フラッシュを使わずに撮影しましょう。
また、冒頭にご紹介した「キトンブルー」の子猫は目の色素が定着しておらず弱いので、フラッシュは使わないようにしましょう。
瞳孔の構造と役割
瞳孔はカメラのレンズの絞りと同じ働きをしています。カメラはレンズの絞りを絞る事でピントの合う距離が広くなります。絞りを開けばピント位置以外のボケが大きくなります。
人間はちょうど巾着袋を広げたり締めたりするように瞳孔を開閉するのですが、猫の瞳孔は縦に長く開閉する構造によってベルトを締めるように素早く縮める事ができ、また大きく開く事もできるのです。
そして、猫は眼球に入ってくる光をこの瞳孔の構造によって微調整することができるのです。
捕食するための構造
猫の縦長の瞳孔は縦方向に広く見る事ができますね。猫が瞳孔を開いて見るとピント位置以外は縦方向にボケた映像をとらえて、縦線を背景から浮かび上がらせる事になるのです。
そして、左右の目で見た時に立体的にとらえられるので、対象物の距離を把握しやすいのです。
これは捕食する時に猫は木に登って高い所から狙ったり、狭い藪の中で待ち伏せをします。この時に距離がわかるわけですから、狩りをする猫にはピッタリなわけですね。
光で変化する瞳孔
日がよく当たる明るい場所に行くと猫の瞳孔は縦に細くなります。「眩しいよ」と言っているようですね。
また、電気がついた部屋や日差しがあまり強くない場所では縦の楕円形になりますね。飼い主さんが一番よく見る大きさではないでしょうか。
そして、夜や暗い場所にいる猫の瞳孔はまん丸で大きくなりますね。この大きく開いた瞳孔がクリクリした目で愛猫家の皆様には一番人気といった感じですよね。
猫の瞳孔が開いている時の気持ち
先ほどご説明したように猫の瞳孔が開く時は交感神経が優位になっているのですが、交感神経が優位になった場合とはいったい猫がどんな気持ちになった時なのでしょうか?
それでは、猫の瞳孔が開いている時の気持ちについて具体的に説明していきましょう。
じゃれて遊んでいる時
興味がある物を見つけると猫の瞳孔はその対象物にピントを合わせようとします。実は猫は近い場所にある対象物は見えにくいのです。
だいたい75cm程度が一番見えやすい位置と言われています。猫と遊ぶ時はこの辺りで猫じゃらしを揺らすのがおすすめです。
猫が瞳孔を開いて対象物をとらえている時、目はクリクリになって獲物を捕る本能全開で狙っているのです。もともとは捕食する生き物ですから、とても興奮しているのでしょうね。
緊張している時
明るい場所にも関わらず、猫の瞳孔が広がっている場合は緊張状態です。猫を動物病院に連れて行った時、そうなっている事に気付かれた飼い主さんもいることでしょう。
犬の鳴き声や知らない臭いに猫は不安やストレスを感じて「ドキドキ」しているのです。
不愉快な時
爪を切ろうと抱っこしたら、急に瞳孔が開いてくる事もあります。猫の瞳孔は不愉快な気持ちでも開きます。
猫が何か気に入らなかった時に「何するの!?」という感じです。爪切りが嫌いな猫は、瞳孔でも「これ嫌い!」と言っているのでしょうね。
怒っている時
猫同士の喧嘩の始まりにも猫は瞳孔が開きます。相手を威嚇している時はアドレナリンという物質が脳から放出されて、このアドレナリンによって興奮状態になります。
そして、興奮状態になった猫の瞳孔は明るい所でも大きく開くのです。そして怒りの他に、相手に恐怖を感じている場合もあるでしょう。
怖い時も猫の瞳孔は開きます。怒りと恐怖に襲われている猫に、容易に人が手を出すと「とばっちり」を受けてしまいますよ。
驚いた時
猫がビックリした時って尻尾の毛が逆立って太くなる事は有名ですが、実は瞳孔も開く事があるのですよ。
これは恐怖や不安から瞳孔が開くのです。目を見開いた猫の顔は「びっくりした!」と言っているようですね。
猫の瞳孔が小さい時の気持ち
次は猫の瞳孔が小さくなった時です。副交感神経優位になっている時ですね。
「愛猫はホントに喜んでいるの?」「ツンデレだけどホントは喜んでいたりして」と観察するのも楽しいですよ。では具体的にご紹介しましょう。
休息している時
気持ちよさそうにお日さまの下を歩く猫は明るさの調節もあるのでしょうが、瞳孔は細いか楕円形でのんびりムードですね。
お外で過ごす猫の場合は「敵もいないし、どこでお昼寝しようかな」と言った感じですかね。
リラックスしている時
あたたかくて猫にとって安心のできる場所でリラックスする猫は、まぶたが半分以上閉まっていて今にも眠りそうです。
そこから覗く猫の瞳孔も細いか楕円形になっていますよね。「安心してくつろいでるよ」と言っているのでしょうね。
攻撃態勢の時
猫同士が喧嘩になって攻撃する時や知らない人に手を出されて攻撃する時など、猫の瞳孔は小さく縮んでいる事があります。
針のようになった瞳孔で怒る猫の顔はまさに鬼に形相ですね。これは瞳孔を縮める事で攻撃の狙いを定めているのです。強気で相手に挑んでいるのでしょう。
猫の瞳孔が開いたり、閉じたりするのはこういった理由がありました。その他にも、猫の瞳で気になるのは「オッドアイ」ですよね。
あの神秘的な瞳はとても惹かれます。猫のオッドアイの秘密は『猫がオッドアイになる確率とは?オッドアイにまつわるお話』の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
まとめ
今回は猫の瞳孔から猫の気持ちを察するという事でしたが、猫はこの他にもたくさんの表現をしてくれます。
瞳孔に合わせて耳や尻尾などの動きや向きなども含めて猫を観察してみると、もっと猫の気持ちを理解してあげる事ができますよ。
また目は口ほどにものを言います。猫の目を毎日観察する習慣をつける事で、愛猫が「なんとなく元気がない目をしているな」「どうしたのかな?」といつもより気をかける事で異変に早く気付く事ができます。
愛猫と見つめあって幸せな時間を過ごしてくださいね。