猫って見るたびに寝ている印象がありませんか?寝てばかりいるから別名「寝子」なんて言う人もいるくらいです。
そんな猫の寝ている様子を見ていると、口をもにょもにょしていたり、何か「うにゃにゃ」と呟いていたりするような光景を見かける事があります。
また、突然ピクピク動いたりする事もありますよね。一体寝ている時に何が起こっているのか、それとも夢でも見ていて寝言を言っているのか、謎が多いですね。そんな気になる猫が寝ている時の実態を詳しくお話していきますね。
目次
猫が寝言を言う理由
レム睡眠が長い
猫は1日のうち約16時間を寝て過ごしています。高齢猫や子猫の場合はもっと睡眠時間は多いです。この時間の中で、本当に熟睡しているノンレム睡眠の割合が猫はとても少なく、睡眠時間全体の約2割だけと言われています。
元々野生で過ごしていた猫の祖先は、外敵から身を守るために、睡眠の8割をレム睡眠状態に保つようになりました。その性質が今の猫にも受け継がれているんですね。
猫の睡眠のサイクルは、約30分~90分のレム睡眠と約6~7分のノンレム睡眠が繰り返されます。
猫は長いレム睡眠中に身体を休ませていますが、眠りは非常に浅く脳は起きている状態ですので、寝ていながらも自然と唸ったり鳴いたりする事があるのです。
狩りの夢を見ている
猫はレム睡眠中に、狩りをしたり走り回ったりしているような、活動的な夢を多く見るます。このような夢を見る理由は、脳が危機管理の際の行動を、シュミレーションしながら整理しているせいだとも言われています。
レム睡眠中に見ている夢の中では、きっと猫は激しく走り回って、敵に唸ったり鳴いたりをしているのかもしれません。それが寝言として表れてきているのです。
夢で見る狩りの光景は本能によるものですので、普段はのんびりとしていて、狩りなどした事のない猫でも、寝ながら威嚇するような唸り声を出す事があります。
猫の眠りはなぜ浅いのか
知らない方も多いですが、猫は肉食動物です。いつ獲物がきてもいいように、常に周りにアンテナを張っている為に眠りが浅いというところは、他の肉食動物と共通する点があります。
他には、先に紹介したように自分もいつ襲われる危険がくるか分かりませんので、身を守る為に眠りが浅いという、2つの理由があります。人の手で育てられて外敵に襲われる危険のない猫でも、この性質は抜ける事なく現在に至っています。
レム睡眠中には脳は活発に動いていますので、物音などがするとすぐに気が付き、すぐに行動に移る事が可能となります。トイレも起きている時と同様に行きたくなるのです。
このレム睡眠は、脳は動いていても身体自体は休んでいるので、筋肉の疲労回復などはでき、身体の睡眠時間とも呼ばれています。
子猫の頃の夢を見ている
猫が飼い主さんの膝の上などで、撫でられているうちに喉をゴロゴロ鳴らしながら寝てしまう事もありますよね。こんな時は、母猫に甘えていた子猫の頃を思い出して、幸せな気分で寝ています。
狩りをしている夢をみている時とは違い、可愛らしく「にゃー」と寝言を言うのはこんな時です。
寝言を言わない時もある
一切寝言も言わず、唸り声も出さず、ピクリとも動かずに寝ている時もあります。こんな時は本当に熟睡しているノンレム睡眠の最中です。猫にとっては貴重な時間となります。
規則的に寝息を立てていれば問題ありませんので、つついたりして起こしたりせずに、そっとしておいてあげましょう。ノンレム睡眠中は、猫がストレスを消化する時間ともいわれています。猫の寝ている様子がこんな感じですと、ノンレム睡眠中だと思ってください。
- 身体を投げ出したようなダラリとした恰好で寝ている。
- 名前を呼んだり、撫でてみたりしても全然起きない。
- 普段なら起きるような物音にも反応しない。
寝ている時に白目や痙攣をする原因
脳は起きている
猫の長い睡眠はほとんどの時間がレム睡眠です。レム睡眠時には、脳はほぼ起きた状態で活発に動いていますが、猫の身体はリラックスした状態となります。リラックスしきった身体で脳からの信号を受けているので、身体が痙攣したような動きをしてしまうのです。
眼球の動き
レム睡眠時には脳が動いている事から、眼球も同じように動きます。元々レム睡眠のレムという言葉には「睡眠中の急速眼球運動」という意味があり、眠っている状態の時に、眼球がまぶたの下で激しく動く事を指しているのです。
きっと夢の中では獲物を追いかけて、視線をあちこちに動かしているのでしょう。その夢の中での動きが脳から眼球に伝わり、目は閉じたままの状態にも関わらず眼球だけが動いてしまいます。
でも、基本的には、身体は力が抜けたリラックスした状態なので、眼球の動きに引きずられて瞼が開いた状態になり、無意識に眼球が動くので白目に見える時もあるのです。
うちの猫は寝ている時に白目をむいていて可愛くない!なんて話をよく耳にしますが、それも猫の特徴の一つと捉えて、見守ってあげてくださいね。
病気の疑いがある場合
静かに寝ていると思ったら、突然ビクッと大きく痙攣する時があります。大きな痙攣でも1度で済めばいいのですが、続けて2度3度と痙攣をした時には病気の疑いを持ってください。
疑われる病気の種類は「てんかん」です。人間でも同じ名前の病気がありますので、聞いた事がある方は多いのではないでしょうか。
猫も人と同じで、てんかんの場合は突然痙攣の発作を起こします。最悪の場合には、痙攣が数分間続いて口から泡を出し意識障害を起こす事もあります。
てんかんは、先天性で産まれつき脳に障害がある場合と、事故やその他の原因で頭に怪我を負い、脳にダーメージを受けた場合の2種類があります。先にあげたレム睡眠による痙攣と、てんかんによる痙攣には大きな違があります。
- 痙攣が繰り返され、1分以上続く。
- 口から泡のような物を出し始める。
- 名前を呼びながら揺すっても目が覚めず、意識障害を起こす。
- 痙攣しながら排泄物が出てくる。
てんかんの発作にはこのような特徴があり、異常のない状態でする痙攣とは大きな違いがある事は一目瞭然です。日頃から猫の様子を見ている飼い主さんでしたら、すぐに分かる違いだと思います。
猫の「てんかん」発症率はそれほど高くはありません。100匹の猫が居たとしたら、その中の1匹が発症するかしないかという位少ない症例です。
それでも、万が一寝ている時の痙攣がいつもと明らかに違う様子でしたら、早めに動物病院に連れて行くようにしてください。早期の治療がとても大切になります。
今回は寝言を紹介してきましたが、飼い猫はよくあくびばかりしていませんか?実は猫のあくびは眠たいだけが理由ではないんですよ。詳しくは、『猫のあくびは眠い時だけではない!見落としがちな猫のサイン』の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
のんきに寝言を言いながら、毎日のんびり寝ている印象の猫ですが、実は夢の中ではいつも活発に動き回っていたんですね。今の生活では狩りをする事もする必要もないので、夢の中ではいつもと違う自分になって走り回っているのかもしれません。
普段は臆病な子も、きっと夢の中では勇敢に狩りをしているのでしょう。猫の夢の中を一度覗いてみたい気持ちになりました。
また、寝ている時に痙攣を起こしたり、寝言を言ったりするかどうかは猫によって違いがあり、頻繁に痙攣する子もいれば、全くしない子もいます。
痙攣が多いからといって心配する必要はありませんが、万が一いつもと違う様子が見てとれましたら、すぐに病院に連れていく必要があるという気持ちでいてください。
何も知らない状態でいつもの痙攣とは違う様子を目の当たりにするのと、ある程度の知識を持っているのとでは、飼い主さんの心構えも大きく変わってくると思います。
もしも猫が病気になった時には、頼るのは飼い主さんしかいないのですから、飼う側の人間はその点を充分理解しておく必要がありますね。