夏になると犬も「はぁはぁ」して暑そうですよね。飼い主が食べていたアイスクリームを「ちょっとだけ」なんてあげてしまう飼い主さんも実は少なくないのではないでしょうか。
でもアイスクリームは犬にとって必要な食べ物なのでしょうか?愛犬の健康を損なわない安全な食べ物なのでしょうか?
今回はこの「ちょっとだけ」に潜む危険をご説明しましょう。実はアイスクリームは犬にとっては危険な食べ物なのですよ。
目次
犬にアイスを与えた時の危険性
普段私たちはなんとなく口にしているアイスですが、犬にとっては不必要な成分であったり、犬にとっては危険な食べ物が入っていたりするのです。
というのも、最近はフレーバーの種類も多く楽しめるのですが、これが実は怖いのです。では、まずはアイスの危険性について具体的にご紹介していきましょう。
乳糖が分解できない
アイスクリームは乳製品に入る物が多く、大抵は「乳糖」という成分を含んでいます。
この乳糖を犬はそもそも分解する事ができません。分解できないと下痢や軟便、または嘔吐する事があるのです。
チョコレートが入っていたら危険
チョコレートに含まれるデオブロミンという成分が犬にとっては有害です。デオブロミンはチョコレートだけではなく、ココアパウダーにも含まれています。ココアパウダーが振りかけられているアイスもよく見かけますよね。
また最近は苦みの強いチョコレートが人気ですが、この苦みが「デオブロミン」を多く含んでいる場合が多いので危険です。犬が食べた場合の中毒症状は以下のようなものがあります。
- 嘔吐
- 下痢
- 興奮
- 高体温
- 不整脈
- フラフラする
- ハァハァする
- ふるえ
- 痙攣
- 発作
- 時に死に至る昏睡状態
抹茶、コーヒーが入っていたら危険
抹茶にもコーヒーにもカフェインという成分が入っているのですが、このカフェインも犬にとっては毒物です。
カフェインはチョコレートでご紹介した、デオブロミンという成分の親戚みたいなもので、デオブロミンと同じような中毒症状を引き起こすので危険です。
レーズンが入っていると危険
犬が口にしてはいけない果物にブドウがありますが、レーズンもまた同じく危険です。
この毒性についてまだわかっておらず、対処がなく怖い食べ物です。アイスにはよく入っている食べ物ですよね。
アルコールが入っていると危険
レーズンと一緒にアルコールがアイスに入っているアイスにラムレーズンがありますね。
このアルコールも犬にとっては危険です。犬はそもそもアルコールを分解する事ができません。急死してしまう事さえあるのです。
間違って犬がアルコールを口にしてしまったら、アルコールの量に関係なく動物病院を受診しましょう。参考までにアルコールの影響を濃度によってご説明しておきます。
- 低濃度
アルコールが脳の抑制する神経の活動を押さえる方向に働くために興奮状態になる - 中濃度
アルコールが運動神経を抑制するので、動くのが億劫そうで時間がかかったり、無反応になる - 高濃度
脳幹という命を維持するのにとても大事な器官をアルコールが抑制してしまうため、呼吸機能や心肺機能が停止して死に至る
アイスの棒の誤飲
アイスにはよく棒付きの物がありますが、これを誤飲してしまう事故が多いのです。いい匂いがしますし、甘い味が残っている事があり、犬にとっては魅力的なのです。
棒をかじって飲み込んでしまえば内臓に傷を付けてしまう事もありますし、最悪内臓を突き破ってしまう事もあります。また大きいまま飲み込んでしまえば、詰まって腸閉塞を起こして急死する事もあります。
犬にアイスを与える必要はない!
犬に必要な栄養素は、「たんぱく質」「炭水化物」「脂肪」「ミネラル」などです。
その中でも問題なのが「糖分」と「脂肪」です。「糖分」は糖分としてとらなくても他の栄養素が使われるので、そもそも犬に必要がないのですが、アイスクリームにはたくさんの糖分が含まれています。
その理由は冷たい物は舌が麻痺して甘さを感じにくくなるからなのです。
また、アイスクリームがまろやかで口当たりを感じる事ができるように油分を混ぜられている事がほとんどです。犬に不必要な油を与えて良い影響はないですよね。
【一般的なアイスに含まれる糖分と油分量】
- アイスクリーム(バニラ)100グラム
→砂糖21グラム(角砂糖7個分)
→油分8.8グラム程度(小さじ一杯半強) - シェイク飲料(バニラ)1食あたり
→砂糖100グラム(角砂糖33個分)
不要な糖分、油分は肥満の元
犬にこういった不要な糖分や油分を与え続けられたら、肥満になる事は簡単に推測できますよね。犬の肥満は人間と同じようにあらゆる病気の引き金になります。
では、次に肥満になった犬の体ではどういった事が起こる可能性があるのか、またかかりやすくなる病気についてもご紹介していきましょう。
心臓・呼吸器系の病気
太っていれば心臓は全身に血液を送るために頑張らなければならず、それだけで疲れてしまいます。
当然、呼吸の回数も増えることで呼吸器系の病気もおこりやすくなるのです。心臓、呼吸器関係の病気は以下のようなものがあります。
- 高血圧症
- 呼吸困難など
骨・関節の病気
骨や関節は重さで負担がかかります。さらに動作が鈍くなることでいろいろな事故に合うリスクが高まってしまうのです。かかりやすくなる骨、関節の関係する病気は以下の通りです。
- 前十字靭帯断裂
- 骨関節炎など
その他のかかりやすい疾患と弊害
肥満になると耐久力が低下し、特に暑い時期には抵抗力が弱まります。そのため皮膚病、感染症、便秘、消火器系の病気になりやすくなるのです。
また、病気やケガなどの時に麻酔をかける事がありますが、この麻酔をかける際の危険度も増してしまうので手術がやりにくくなるリスクを負う事になるのです。
肥満が引き起こす可能性があるその他の病気は以下のようなものがあります。
- 糖尿病
- 膵炎
- 腎障害
- 脂質異常症
- 甲状腺機能低下症など
犬におやつを与える時は犬用を与えよう!
飼い主さんがアイスをおいしそうに食べているのに愛犬に何かあげないと可哀そうと思われる飼い主さんもいらっしゃるでしょう。人間用はご説明したように犬にとって必要のない食べ物です。
では犬に安全に与えられるおやつはどんなものがあるのでしょうか。次に犬に与えても良い市販のおやつと注意点をご紹介していきますね。
市販の犬用アイスを購入する
犬に与えても一般的に大丈夫な犬用のアイスやシャーベットが販売されています。お砂糖を使っていませんし、フレーバーも豊富で美味しそうですね。
ここで市販アイスによく使われている材料について「その食材の良い点」と「与える前の注意点」をご説明しましょう。
ヨーグルトは犬に良い食材
市販の犬用アイスによく使われているのがヨーグルトです。ヨーグルトは乳製品になりますが、乳酸菌によって乳糖の一部が分解されているため牛乳よりもお腹を壊す心配がないので犬に与えるには良い食材です。
また、犬に与えるとこんな良い効果がありますよ。
- 腸内環境を整える
- 消化を助ける酵素が含まれている
- 犬に必要な栄養素を含む(タンパク質、カリウム、ビタミンB1、ビタミンB2など)
ただし、ヨーグルトに「アレルギー」がある犬もいるので、アイスを与える前にヨーグルトが愛犬に与えて大丈夫かどうかを判断するために、少量与えて嘔吐、下痢、湿疹などがないか確認して2日程度は便の状態を確認しましょう。
また、与えるヨーグルトは加糖されている甘いヨーグルトは避けて、無糖のヨーグルトにしましょう。
チーズは犬に良い食材
チーズも市販の犬用アイスによく使われる食材ですね。チーズは製造工程で出る「ホエイ」という水分に乳糖が出てしまうので、チーズには乳糖が含まれないので犬に与えるには良い食材です。
また、犬にとっては重要で必要な栄養素がたっぷり入っているのです。例えばたんぱく質は体をつくる大事な栄養素ですし、骨や被毛にかかせないカルシウムなどのミネラル分も豊富です。
ただしチーズはヨーグルト同様に乳製品ですのでアレルギーを起こさないかどうかの確認をしましょう。
与える時は「プロセスチーズ」などは塩分が高いので、カッテージチーズや、クリームチーズ、モッツァレラチーズが塩分が少ないのでおすすめです。
使われている果物に注意
市販の犬用アイスにはよく果物が使われていますね。犬が果物にアレルギーを起こす場合もあります。
果物もヨーグルト同様に少量与えて大丈夫か確認してから、その果物が使われているアイスを与えるようにしましょう。
また、犬は何でも食べると言っても、食べてはいけないものもたくさんあります。詳しくは、『飼い犬にキャベツを食べさせても大丈夫?食べさせてはいけない野菜とは?』の記事で紹介していますので、ぜひ合わせて参考にしてみてください。
まとめ
犬が暑がっていると氷を与える方も多くいらっしゃいますよね。氷にしても犬用のアイスにしても冷たい物ですから犬がお腹を下したりする事もあります。その犬に見合った少量を与える事が大事ですよ。
また犬にアイスを与えて涼を取らせなくてもヒンヤリした場所を用意してあげる事で犬は暑さを乗り切る事ができます。そのためにも愛犬を肥満にしない事が大事ですよね。