季節の変わり目は、気温の温度差が激しく、風邪を引いた経験がある方も多いと思います。それと同じような症状で、猫がくしゃみをしたり、咳をしたり、抱き抱えると熱っぽい…なんてことはありませんか?
愛猫の辛そうな症状を見るのは、飼い主として心が痛みますよね。その症状は猫の風邪なのでしょうか?
そんな時には飼い主はどうすれば良いのか、猫の風邪を引いた時に知っておきたい症状と対処法をご紹介します。
目次
猫風邪は風邪ではなく総称!
猫の風邪は様々な原因によって引き起こされます。原因となるウイルスと共に症状をご紹介します。
ヘルペスウイルス感染症
ヘルペスウイルス感染症の病名は「ウイルス性鼻気管炎」と言い、主な症状は以下に書いてあることが挙げられます。
- 鼻水
- くしゃみ
- 発熱
- 元気がない
- 角膜炎
- 食欲減退
これらの症状から悪化する場合が多く、「下痢」「嘔吐」などの胃腸の症状が出る可能性もあります。生後半年未満の小さな子猫などは、急激な衰弱や脱水を起こし、死に至ることもあるので注意が必要です。治療は、インターフェロンや抗生物質の投与です。
鼻水や涙などは、こまめに拭きとってあげることが好ましいですが、できれば使い捨てできるティッシュや柔らかい布で行ってあげましょう。このヘルペスウイルスの特徴は、完治したように見えた後も、猫の体の中で「休眠」しているだけなのです。
よって、ストレスや免疫力が低下した時に、ウイルスが活性化し再発します。安静にしていれば2週間ほどで回復するのですが、体内には虎視眈々とヘルペスウイルスが自分の登場機会を待ちわびているのです。3種混合ワクチン~7種混合ワクチンの接種で、かかりづらくすることもできますので、定期的に受けさせてあげるといいでしょう。
猫のくしゃみがひどい場合、どのタイミングで病院へ連れて行くべきかを見分ける方法について、『猫がくしゃみをしている原因は?病院へ連れて行くべき?』の記事で詳しく獣医師が書いていますので、参考にしてください。
クラミジア感染症
このクラミジア感染症は人獣共通感染症です!人獣共通感染症とは、今回で言えば、人にも猫にも感染するウイルスのことです。クラミジア感染症の主な症状は、以下に書いていることが挙げられます。
- 大量の目ヤニ
- 結膜炎
- 目の周りが腫れる
- 鼻水
- くしゃみ
- 咳(気管支炎)
このクラミジア感染症は、感染している動物と接触することで感染します。一度感染すると、全身にウイルスが存在するようになってしまうので、猫の糞や尿にも排出されます。
治療は抗生物質を投与し、目薬や点鼻薬、点滴で行います。重症の場合には、死に至ってしまう恐ろしい感染症です。
クラミジアを完全に体内から消し去るには、症状が無くなってからも2~3週間は抗生物質の投与が必要ですので必ずお薬は飲み切らせましょう!人に移ることは稀なようですが、感染した猫を触った後は手を綺麗に洗って消毒し、絶対に目を触らないようにしてください。クラミジア感染症は5種混ワクチン、7種混合ワクチンで防げます。
カリシウイルス感染症
カリシウイルスに感染した時の主な症状は以下のことが挙げられます。
- くしゃみ
- 鼻水
- 咳
- 目ヤニ
- 発熱
- ヨダレ
- 食欲減退
カリシウイルス感染症の主な感染経路は、以下のことが挙げられます。
- 感染した猫との接触
- 感染した猫に触れた服、手、食器など
- 空気感染
これらの基本的な接触により感染してしまうことがあります。カリシウイルスに感染した猫は、口の中や舌に、水疱や潰瘍ができるのが特徴です。この水疱や潰瘍が痛くて、食欲が落ちてしまったり、ヨダレを垂らすことがあります。
治療は、インターフェロンや抗生物質の投与で行います。肺炎を併発する恐れもありますので、異変に気付いたらすぐに病院へ連れて行きましょう。カリシウイルス感染症は、3種混合ワクチン~7種混合ワクチンで予防できます。
パルボウイルス感染症
別名「猫汎白血球減少症」や「猫ジステンバー」とも言います。主な症状は以下のことが挙げられます。
- 高熱
- 嘔吐
- 下痢(症状が重篤になった場合は、血便)
このパルボウイルスは感染力が高く、死亡率がかなり高い感染症です。感染経路は以下のことが挙げられます。
- 感染した猫との接触
- 空気感染
- 飛沫感染
- 感染した猫を人が触った場合の服や手、靴
- 感染した猫が使った食器
犬にもパルボウイルス感染症が存在しますが、犬猫同士の間では感染は認められません。治療は対症療法しかなく、症状を軽減させることしかありません。よって、この病気を克服できるかどうかは、「その猫の生命力」にかかっています。
その他にも、インターフェロンや抗生物質の投与を行いながら、保温、水分補給を行います。生活環境の中に、パルボウイルスは長期間存在することで有名です。
感染が確認されたら、生活環境や食器は全て塩素系消毒を行いましょう。パルボウイルス感染症は、3種混合ワクチン~7種混合ワクチンで予防できます。
オンコウイルス感染症
オンコウイルス感染症と聞くと馴染みがありませんが、この感染症の別名は「猫白血病ウイルス感染症」です。オンコウイルスに感染した猫の症状は、以下のことが挙げられます。
- 発熱
- 下痢
- 鼻水
- 口内炎
- 食欲減退
- 貧血
このオンコウイルス感染症経路は、以下のことが挙げられます。
- 感染猫の体液
- 感染猫の便
- 母子感染
このオンコウイルスに感染した猫の約1/3は持続感染し、発症後50%~70%が2年~5年以内に死亡してしまう場合が多い事で有名です。ですが、感染していても発病しない猫(キャリア持ち)や、稀に突然ウイルスが消えてしまう猫もいます。
治療はウイルスそのものに効くものはなく、現れている症状により適切な治療を行います。生後1年以内の猫の初期感染であれば、体内の免疫を上げてあげることで80%~90%で自然治癒も望めます。
このオンコウイルス感染症は、猫白血病ワクチンで予防できます。また検査キットもあり、不安な方は病院へ検査に連れていくことをおすすめします。
このように猫の風邪には、色々な種類、原因があります。ですが、基本的には全ての風邪の症状を総称して「猫風邪」と言います。
猫の多頭飼いや、外と触れる機会が多い猫、飼い主さんが他の猫とよく接触するようなことが多いのであれば、全ての猫風邪に注意が必要ですね!それでは次に、猫の体調がおかしい時に飼い主さんがやるべきことをご紹介します。
猫の予防接種について、飼い主さんならちゃんと知っておきましょう。『猫の予防接種を知ろう!ワクチンの種類や費用まとめ』にて予防接種の内容や費用を解説しています。
猫の体調がおかしいと感じた時の飼い主がやるべきこと
いつも愛猫をよく観察していると、体調を崩している時と元気な時の違いに気付くと思います。何か不安だな…、おかしいな…と思った時に、飼い主さんがやるべき5つのポイントをご紹介します。
①熱の確認 猫を抱きかかえる、耳を触る
猫の平熱は38℃~39℃です。抱きかかえた時に、熱く感じたら熱があります。また、耳の内側には細い毛細血管が沢山あり、発熱すると赤く見えます。
耳を触ってひんやりしていれば平熱、熱く感じた場合は発熱を疑いましょう。こういう時、猫用の体温計を持っていると便利ですね!
②貧血の確認 耳と歯茎の観察
通常の猫の耳の中はピンク色です。これが白っぽく見える時は貧血を起こしているサインです。また、歯茎も同じで、健康な時はピンク色で貧血を起こしている時は、白っぽく見えます。
③胃腸の確認 便のチェック
猫の便がいつもと同じかどうかチェックしましょう。また、お尻周りも観察しましょう。
④脱水症状の確認 歯茎、皮膚、目の観察
猫の首の周りの皮膚を軽く指でつまみ、離します。この時に正常であれば、皮膚はすぐに元通りになります。なかなか元に戻らないのは脱水を起こしている証拠です。
また、歯茎を触ってみたときに指に張り付いてくるようなら脱水を起こしている場合があります。脱水症状の時には、目がくぼんで見えることもありますので注意して観察しましょう。
⑤一刻も早く病院へ!
猫の体調が悪い時は、状況にもよりますが一刻も早く病院へ連れて行ってあげましょう。何のウイルスに感染したかによって、治療が早ければ早い程、効果があるものもあります。かかりつけの病院の、深夜などの救急での対応などはあらかじめリサーチしておきましょう!
もし、自分の愛猫以外の猫が、調子が悪そうにしていたらあなたはどうしますか?猫好きな方なら、助けたい!と思う気持ちが湧き上がってくるのではないでしょうか?それでは、体調が悪い野良猫を見つけたときの対処法をご紹介していきますね。
野良猫が体調不良そうに見える時の対処法
まずは捕獲
体調が悪い猫はじっと動かないことが多いので、まずは捕獲しましょう。
この時に使い捨てできるビニールの手袋があればいいのですが、普段持ち歩いている人も少ないと思うのでハンカチやタオルで触れるようにし、直接触らないようにしましょう。なぜなら、家に猫を飼っている人は二次感染を防ぐためです。
動物病院へ連れていく
捕獲ができたら、動物病院へ連れて行きましょう。その際に、タオルなどでくるんで保温してあげましょう。ただし、ここで注意が必要です!野良猫であっても、治療費は連れて行った人が必ず負担しなければいけません!
野良猫の場合は、保険が一切適応されません。よって治療費は、10割負担です。高額になる時もあるので覚悟はしておきましょう。
治療、保護する
動物病院で適切な治療をしてもらった後は、自宅に連れて帰れそうな方は自宅へ。それが難しい場合は、獣医さんと相談し、病院のペットホテルで預かってもらいましょう。
飼い主を探す、里親を見つける、自分で飼う
捕獲をした時から考えなければいけないことは「飼い主を探す」ことです。もしかしたら野良猫と思っていたのは、誰かの飼い猫かもしれないのです。
マイクロチップの装着の有無を確認し、張り紙を作ったり、警察に連絡を入れ、インターネットやSNSで保護していることを呼びかけましょう。
もし、飼い主が見つからなかった場合は「里親を探す」か「自分で飼う」か選択をしなければいけません。家族などの人などと相談して決めていきましょう。
猫を保護した後、どのように行動したら良いかわからない人も多いですよね。もし迷い猫や体調が悪そうな猫を保護した時の対処法や、飼い主さんの見つけ方を、『迷い猫を保護した時の対処法を解説!飼い主さんの見つけ方』の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は猫の風邪の症状についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
猫の風邪には色々な種類があり、命に係わるような症状があることがわかりましたね。体調が悪そうなときは、なるべく早く病院で診察を受けることをおすすめします。