飼い猫が怪我をしたという経験はないですか?交通事故などの大きな怪我から爪が肉球に刺さるなどの小さな怪我まで様々ですよね。一番多いのは、ケンカによるものです。
体や顔を引っ搔かれていたり、指先が血みどろになって帰ってくることがあります。猫のケンカ傷は小さくて気づかないことが多く、数日後に腫れてきてようやく気づくということも多いはず。
すぐに病院に連れて行くほどの怪我なのか、病院に連れて行くとストレスがかかるから様子を見るべきなのか、困ってしまいますよね。そこで今回は、猫の怪我の対処法やすぐに診察が必要な怪我なのかについて詳しくお話していきますね。
目次
猫が怪我した時の対処法
まず、猫が怪我をした時に家でもできる簡単な対処法を紹介します。家での軽い怪我として、
- 肉球に食い込んだ爪
- ケンカ傷による擦り傷や噛まれた傷
- 捻挫などの肢の腫れ
などがあります。重度な怪我は次章を見てください。それぞれの家でもできる対処法と、どこまでが家で様子を見れる範囲内なのかを紹介していきます。
肉球に食い込んだ爪
猫は爪とぎをするから爪を切らなくて大丈夫!と思っていませんか?若い時は頻繁に爪とぎをするので切らなくてもいいですが、老猫になると爪とぎの頻度が落ち、爪が伸びて知らない間に肉球に刺さっているということもあります。
まずは、刺さっている爪を爪切りで切って肉球から爪を抜いてください。そして、水道水で綺麗に洗い流して化膿しないように清潔に保ってください。オキシドールで消毒してもかまいませんが、乾燥させるように心がけてください。
もし、怪我の部分をなめるようならエリザベスカラーをつけて清潔を保つことが重要です。舐めてしまうと傷口を広げたり口の雑菌が入ったりして余計に不潔になってしまいます。エリザベスカラーがない場合は、子供用のシャンプーハットでも代用できます。
爪とぎの頻度が落ちているなら、予防として爪切りをしてあげましょう。爪は白い部分とピンク色の部分があり、白い部分を切るだけなら出血しませんよ。ケンカが絶えない猫同士なら若くても爪を切ってあげてもいいかもしれません。
ケンカ傷による擦り傷や噛まれた傷
ケンカ後に出血や腫れがない場合は様子をみてもかまいません。ただ、脚を引きずっていたり出血をしていたら、病院に連れて行きましょう。特に普段の生活と同じなら、そのまま様子を見ましょう。
ケンカをした3日後にいきなり腫れてきたり、化膿したりすることもあるので、注意が必要です。化膿した場合は、洗浄することが大切ですが、早めに病院に連れて行き抗生物質をもらいましょう。
捻挫などの肢の腫れ
着地に失敗して捻挫することもあります。肢を引きずっていても4本足で歩行可能なら、骨折や脱臼の心配はないので、腫れがある場合は少し冷やしてあげましょう。痛がる場合は、病院で鎮痛剤をもらいましょう。
続いて、重度な怪我で病院での診察が必要な怪我を紹介していきます。
病院での診察が必要な怪我
病院での診察が必要かどうか、素人には判断が難しいこともありますよね。交通事故はすぐに診察が必要ですが、擦り傷程度で出血もなく腫れもない場合はどうすべきなのかなど、詳しく紹介していきます。
診察が必要な怪我
診察が必要な怪我は主に、以下のことが挙げられます。
- 交通事故
- 落下による肢の挙上
- 出血が止まらない傷
- 膿や腫れがみられる傷
これらは、上に行くほど緊急度が高くなっています。特に交通事故は、緊急手術が必要な場合(膀胱破裂などの内臓疾患)もあるので、診察時間外なら夜間救急で診察を受けてください。
交通事故
猫の怪我の中で一番緊急性が高いです。猫の小さな体に車やバイクが当たってしまうのですから、人間でいうとダンプカーくらいの衝撃があると思われます。交通事故の場合、心配なのが内臓破裂(特に膀胱破裂)や横隔膜ヘルニアです。
見た目では全くわからないので、すぐに病院に向かい膀胱などの内臓に異常がないかレントゲンやエコーで確認してもらいましょう。
さらに、横隔膜ヘルニアは腹腔内の内臓が交通事故の衝撃によって横隔膜を突き破り胸腔内に出る(出る=ヘルニア)という病気です。これもレントゲンで診断可能です。
これらの疾患があった場合、緊急手術をしないと命の危険があります。必ず、診察しましょう。さらに交通事故では、内臓に異常がなくてもショックによって亡くなってしまうことも少なくありません。
3日間は危険な状態が続くと思ってください。病院でショックに対する治療をしますが、ショックを乗り越えてくれるかは祈るしかありません。
落下による脚の挙上
落下によって脚を挙上して罹患肢に体重をのせない場合(3本足で歩く)は、骨折や脱臼が強く疑われます。
触診でも診断は可能ですが、レントゲンを撮って手術計画を立てる必要があるので、必ず診察してください。落下の度合いにもよりますが、2階以上から落下した場合、交通事故と同様に内臓も心配です。すぐに病院に連れて行きましょう。
出血が止まらない傷
傷が新鮮で出血が止まらない場合や、猫が舐めて傷を広げて出血が続く場合も病院に行きましょう。出血が止まらないと体の血液が足りなくなって、最悪の場合死に至ることもあります。
病院には止血剤がありますし、あまりにもひどい場合は鎮静をかけてレーザーで止血することも可能です。また、動物病院などに供血猫がいたら輸血も可能です。
どうしても病院に行けない状況なら、止血剤の代わりに小麦粉を使用してください。小麦粉は水分で固まるので応急処置になります。さらに、罹患部を圧迫することも止血になるので、指で抑えて圧迫してください。
膿や腫れがみられる傷
傷口が化膿して膿や腫れがみられる場合は、傷口から感染して細菌が繁殖している状態なので、まずは洗浄や抗生物質で治療を行うことが一番です。
病院で洗浄をしてもらい、猫が舐めるなら清潔を保つためにエリザベスカラーをもらいましょう。あとは抗生物質を処方してもらいましょう。
感染が起こった傷は縫合したらよりひどくなることもあります。なので、清潔に保ち抗生物質で細菌繁殖を抑えることが第一です。
裂傷がかなり大きいと縫合することもありますが、基本的には部分縫合(排膿のために全て縫わないこと)しか行いません。
抗生物質でも良くならないなら、薬剤耐性菌の可能性も示唆されますので、培養検査と薬剤感受性試験をおすすめします。
とりあえず様子見で大丈夫な怪我
擦り傷程度で出血もなく(もしくはすぐ止まり)腫れも膿もない場合は、そのまま様子をみましょう。ただ、猫が暴れて患部をみせてくれない場合は病院に連れて行って診てもらってください。
猫のケンカでお腹に爪が刺さって、細菌感染から腹膜炎をおこすこともあります。猫の爪はかなり鋭く、見た目からは傷がわからない場合があります。お腹に感染が起きて重篤な腹膜炎になるケースもあります。
その場合は食欲が落ちてくるので、傷の程度によらず食欲が落ちてきたら病院に連れて行ってください。
猫や犬などのペットは健康保険があるわけではないので、いざ治療をするとなると非常に高額な治療費がかかる場合がありますよね。
今加入数が増えているペット保険は万が一の為に本当に必要なのかどうかについて、『将来が不安!猫にペット保険は必要かどうかを徹底検証!』の記事で徹底解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
猫が怪我をした時は、まず患部をよく見ましょう。ひどいとわかったらすぐに病院へ行きましょう。また、ひどいかどうか判断に困ったら、病院に電話して獣医師に判断してもらうのも一つです。
猫の傷の基本は、洗浄して患部を舐めさせないように清潔に保ち、乾燥させることなので、このことを念頭に置いて対処しましょう。