子猫は母猫の乳を飲んで大きくなるのが一番。でも小さな子猫を拾ったり、母猫が育児放棄したりすると、人がミルクで育てなければいけません。子猫のお母さん役はなかなか大変。人の赤ちゃんの育児と同様に、色々な問題に直面します。
小さな猫のことだから、問題はすぐに解決しないと命にかかわることも。
中でも今回は、子猫の健やかな成長に絶対不可欠で、命の危機に直結する「ミルクを飲まない!」という問題について、解決法を紹介します。
目次
子猫がミルクを飲まない時の考えられる理由
子猫が必要なミルクの量
ミルクは栄養補給と水分補給を叶える万能ドリンクです。生後1か月ぐらいまでは、子猫はミルクだけで成長しますし、離乳食を開始しても、しばらくはミルクが必要です。その必要量は子猫の成長に応じて変わります。
「生後○週の子猫には、どれくらいの量のミルクをあげれば良いですか?」と質問されたら、「ミルクのパッケージの記載に従ってください」と答えます。この答え、少し投げやりに聞こえるかもしれませんね。
子猫にあげるのは、市販の子猫用のミルク。これは鉄則です。子猫用のミルクのパッケージには、成長段階ごとのミルクの必要量が記載されています。その記載は、メーカーがその製品の特性を考慮して算出したもの。だから、パッケージの記載に従うのが一番なのです。
1回に飲む量が少なくても、1日に飲んだ量の合計がパッケージ記載の量を満たしていれば問題ありません。またミルクを飲む量には個体差もあるため、パッケージ記載より少量しか飲まない場合でも、順調に体重が増加していれば、問題ないでしょう。
間違っても牛乳を与えてはいけません。その理由を、『猫に牛乳を与えてはいけない!下痢や体調不良の原因になる可能性も!』の記事で詳しく解説しています。
子猫がミルクを飲まない理由
子猫がミルクを飲まない。その理由は色々とあります。具体的な理由を紹介しますので、思い当たることがあれば、心に留めておいてください。解決法は後ほど説明します。
排泄できていなくて苦しい
子猫は、生後1か月を過ぎる頃までは、自力ではウンチもおしっこもできません。適切な排泄処理をしてあげないと、お腹がパンパンになって苦しくて、ミルクを飲みません。
哺乳力が弱い
子猫の哺乳力には個体差があります。哺乳力が弱くて、上手にミルクが飲めない子猫もいます。
病気で具合が悪い
子猫は体力がないので、ちょっとしたことで体調を崩します。感染症や先天性疾患の危険性も。病気で具合が悪いと、子猫はミルクを飲まなくなります。元気がない、体が熱い、目やにが多いなど、他にも症状があれば、病気の可能性が高いです。
哺乳瓶の乳首のサイズが大きすぎる
乳首のサイズが大きいと、口に入らないため、ミルクが飲めません。
哺乳瓶の乳首に慣れていない
シリコンでできた乳首は、母猫の乳首と口触りが違いますので、慣れていない子猫は、嫌がって口にしないことがあります。
ミルクの温度が不適切
母乳は、母猫の体温で程よく温かい。それと同じくらいの温度がミルクの適温です。熱すぎたり、冷たすぎたりすると、飲まないことがあります。
ミルクの濃度が不適切
猫は結構、味にうるさいです。濃すぎたり、薄すぎたりするミルクは、飲まないことがあります。
ミルクの味が口に合わない
母乳に近づけてつくっているとは言え、ミルクはやはり母乳とは味が異なるので、口に合わず、飲まないことがあります。
室温が不適切
体温の調整機能が未熟な子猫は、室温の影響を受けやすいので、室温が寒かったり、暑かったりすると、元気が無くなって、ミルクを飲めなくなります。
ミルクを与えて成長してきたら次は離乳食です。子猫の離乳食のタイミングについては、『子猫に離乳食を与えるタイミングは?正しく栄養を取らせよう!』の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ミルクを飲まない時に試したい方法
まずは病気の可能性を排除!
ミルクを飲まない理由が病気の場合、飼い主は解決できません。小さくてエネルギーの蓄えが少ない子猫は、病気でミルクが飲めなくなると、あっという間に命の危機に陥ります。だからすぐに動物病院に行く必要があります。
ミルクを飲まないなら、ひとまずは病気を疑って動物病院に行くのが理想です。少なくとも、他の症状もある場合や体重が減ってきた場合は、動物病院に行くこと。病気の可能性を排除した後で、次のステップとして、ミルクを飲んでもらう方法を試しましょう。
ミルクの補給を忘れないで
ミルクを飲んでくれず、四苦八苦しているうちに、あっという間に子猫は脱水や栄養不足になってしまいます。哺乳瓶で適量のミルクを飲んでくれない間は、哺乳瓶で飲んでもらう努力を続けると同時に、ミルク不足にならないように対策しなければなりません。
具体的には、足りないミルクはスポイトやシリンジで強制的にあげるか、清潔な指にミルクをつけて、少しずつ舐めさせましょう。
子猫にミルクを飲まない時に試してほしいこと
ミルクを飲まない理由はひとつの場合もあれば、複数の場合もあります。可能性をひとつひとつ探って解決するのは時間がかかりますので、簡単な問題はまとめて解決する。その上で個々の問題を解決するというのが一番の近道です。早速その方法を紹介しますね。
Step.1 先ずは簡単な問題を一気に解決する
理想的な哺乳環境を整える
- 子猫用の乳首を使用する
- ミルクは適切な濃度にする
ミルクはそのパッケージ記載に従った濃度で作りましょう。濃すぎても薄すぎても、子猫は飲んでくれません。猫用の粉ミルクを使用する場合、哺乳瓶の底に溶け残った粉ミルクが固まることがあります。そうすると薄いミルクになってしまいますので、ミルクを作るときには、哺乳瓶の底を見て、全て溶けていることを確認してください。 - ミルクは適温にする
ミルクは適温(人肌より少し温かい程度)を心掛けましょう。特に冬場は、作った時は適温でも、あげる準備をしているうちに冷めてしまうことがあるので、注意が必要です。 - 部屋を適温にする
子猫の適温は35度。結構暑いので、部屋中をその温度にすると、飼い主の方がダウンしてしまいます。子猫がいる場所をヒーターやホットカーペットなどで暖めましょう。部分的に暖めることで、子猫が暑いと思ったときの逃げ場を確保すること。もし体が冷えている場合は、タオルで包んでしっかり温めてから、ミルクをあげましょう。
子猫の体調を整える
- ミルクの前に排泄を促す
ミルクを与える前に必ず、陰部を濡らしたガーゼや脱脂綿で軽く刺激して、排泄を促してください。
該当する場合は対処する
- 子猫は乳首を吸うのに、なかなかミルクが減らない場合
哺乳力が弱い可能性があります。哺乳瓶の乳首の穴を針などで少し大きくするか、針でもうひとつ穴を開けるかして、ミルクの出を良くしましょう。ほんの少し大きくするか、たったひとつ穴を開けるだけでよいです。あまりに多くミルクが出るようになると、今度は口からあふれたり、蒸せたりして、飲めなくなってしまいます。 - 人工哺乳に慣れていない子猫で、乳首を口に入れたがらない場合
慣れない乳首に抵抗しています。乳首の先にミルクを塗りつけて口に当てて舐めさせるか、乳首の先を口に当てて乳首を指で押してミルクを出して、「ここからミルクが出るよ」と教えましょう。健康な子猫なら食欲に負けて、乳首からミルクを飲むようになります。
Step.2.「Step.1.」をしても飲まない場合
- 他のメーカーのミルクを試す
頑なにミルク飲まない場合、ミルクの味が気に入らない可能性があります。メーカーによって、ミルクの味は微妙に違うので、他のメーカーのミルクを試してみましょう。気まぐれな猫なので、他のメーカーのミルクを試してから元のメーカーに戻したら、急に飲んでくれるようになった、なんてこともあります。
Step.3.「Step.2.」をしても飲まない場合
- 動物病院に行く
飼い主では気付けない問題や、その子特有の事情がある可能性があります。ここまできたら専門家に相談するのが一番です。くよくよ悩まず、動物病院に行きましょう。
子猫にミルクを飲ませる方法については、『子猫にミルクを飲ませる方法!飲まない時の対処法も!』の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
子猫をミルクで育てるのはとても大変ですが、その分、愛情もひとしおになります。寝不足になったり、部屋が汚れたりで、大変な子猫育てかもしれませんが、それもいっときのこと。
子猫の時代はとても短いです。子猫の愛らしさをご褒美に、是非とも子猫育てを楽しんでくださいね。