昔は犬を飼う時は大体の方が外飼いをしており、理由は番犬が最も多く挙げられていましたね。しかし、現在では犬を飼うにあたっての飼育方法は室内飼いがおすすめされています。
ですが、犬によっては室内飼いをすることが難しい性格の子もいますし、どうして室内飼いがおすすめなのか不思議に思う飼い主さんのために、今回は犬の外飼いで気を付けたい注意点や、室内飼いをおすすめする理由についてご紹介したいと思います。
目次
犬を外飼いする時に気をつけたい注意点
愛犬の犬種は外飼いでも大丈夫な大きさか?
最近は愛玩犬と呼ばれる、小型犬などの小さなサイズの犬を飼っている方が多くなりました。小型犬でも外飼いをしようと思えばできるのですが、体が小さいため、その分体力も少ないのです。
寒さや暑さに耐えられる犬種なのか、サイズ的に外飼いでも安定して生活していけるのか、もう一度考えてみましょう。
また、外飼いの場合は室内と違い、飼い主さんの目の届かない場所で犬を生活させることになります。よって、子犬や老犬などは体調が急変することも多いので外飼いはおすすめできません。
避妊、去勢手術はしていますか?
犬の発情期は年に2回、春と秋に訪れます。発情期中は、メスのにおいをオスは敏感に嗅ぎ付けて、本能的に繁殖しようとします。
なので、発情期を避けるべく、外飼いの犬は、避妊去勢手術は必須になります。オスの本能的な繁殖活動は凄まじく、塀や柵も平気で飛び越えて侵入してきます。
また、発情期中はオス、メスともに神経質になっている場合が多いので、通りかかる人などに勢いよく攻撃しようとする犬もいますので注意が必要です。
フィラリア予防や寄生虫予防は徹底しましょう
外飼いの犬は常に自然にさらされる環境で生活をしていることになります。
外飼いのリスクとして蚊が媒介するフィラリア症や、ネズミなどの小動物からの感染症、寄生虫、ダニ、ノミなどの病気にかかる可能性が、室内飼いと比較しても格段に上がります。なので、1年中を通してこれらの予防をすることが鉄則となります。
犬を生活させる場所は間違いなく安全か確認を!
外飼いの犬を生活させる場所は、本当に安全かどうか調べましょう。フェンスや塀の隙間が犬が通れる幅であるなら、まず調整する必要があります。犬は隙間から頭が抜けると、体全体の脱出ができてしまうので、柵であればかなり細かいものでないといけません。
次に、地面が緩くないかどうかの確認です。どんなに立派な柵や塀があっても、その下の地面が緩いと、犬は穴を掘って外に脱出してしまいます。
次に、屋根がある場所か、水たまりができない場所かどうか確認しましょう。雨などで水たまりができる場所は、ボウフラなどの繁殖場になってしまいますし、体も汚れてしまい不衛生です。犬は雨に濡れると体温調節が上手にできなくなり、衰弱してしまうこともあります。
次に、犬にとって有害な木や植物が無い場所かどうかです。木や植物は人間にとって平気なものでも、犬が舐めたりして口にすると中毒症状を起こすことがあります。中毒症状は命に関わるので、生えている場合は完全に取り除きましょう。
犬のストレスになるものが無いか確認を
外飼いの場合、犬にとってストレスと感じるものが多々あり、以下のものが挙げられます。
- キラキラと光るもの
- 眩しい光
- ユラユラ揺れるもの
- 騒音
- 金属がぶつかる音
- 空気が抜ける音
- 人間の通行量が多い
例えば、交通量が多い場所に面した場所で外飼いをすると、トラックのエアーブレーキの「プシュー!」という音や自転車のブレーキの「キキキーッ」という金属の擦りあわされる音、見知らぬ人間の喋り声などが聞こえますよね。
これらのことは、犬にとってストレスになってしまいます。いつも不安感がある犬は落ち着きがなくなり、攻撃的になってしまうこともあるでしょう。
また、小さな子供などが使う道では、子供が柵の間から指や手を入れてしまうこともあるかもしれません。犬にとってはこれを侵入者と判断し、威嚇し吠えたり、咬み付こうとすることもあるのです。なので、これらの状況が無い場所で犬を生活させましょう。
その他にも犬がストレスを感じてしまうことや、ストレスを感じさせない為にはどうすれば良いかを、『気をつけて!犬にとってのストレスになる要因とやってあげたいストレス解消法!』の記事で詳しく紹介しています。
外飼いのメリットとデメリット
メリット
換毛期に部屋が汚れない
犬は換毛期があり、夏は毛量が少なく、冬は寒さに耐えるためフサフサに生えます。換毛期には大量の抜け毛が出ますが、外飼いの場合であれば、この換毛期に部屋が汚れなくて済みます。
番犬になることもある
個体差もありますが、犬にとって自分の縄張りを守ろうとする警戒心から、見知らぬ人に向かって吠えたり、威嚇したりすることがあります。泥棒はまず、犬がいる家庭は選ばないと言うほど、それはものすごく吠えます。なので番犬になると言ってもいいですね。
トイレトレーニングがあまり必要ない
外飼いの場合、犬は自分が決めた場所にトイレをしますし、他の場所でしてしまってもあまり困ることが無いのではないでしょうか?よってトイレトレーニングは、あまり必要がないと言えます。
人間が犬を介した病気にかかりづらい
人獣共通感染症と言われる病気があり、これは犬を介して、または人を介して、お互いに感染する病気のことです。犬と飼い主さんの生活空間を完全に分けることにより、この人獣共通感染症にかからずに済みやすいと言えます。
デメリット
天候や季節の影響を犬は受けてしまう
外飼いの場合、庭や玄関の脇で犬を生活させると思いますが、季節や天候の影響をもろに受けてしまいます。雨が降れば、犬の体は濡れてしまうこともあるでしょうし、夏は気温が高くその暑さに耐え、冬は逆に気温が低くなり寒さに耐えないといけません。
また、犬は雷が苦手な子も多く、雷の光や音に対して恐怖を感じ、ストレスを感じてしまいます。このように外飼いの犬は、季節の天候をもろに受けて、体力を奪うこともあるかもしれないのです。
感染症のリスクが高い
外飼いの犬の場合、自然により近い生活になりますので、ノミやダニ、寄生虫などのリスクが高くなります。ノミやダニに吸血されることによって、貧血などの症状が出る犬もいますし、生活環境自体が不衛生になってしまいます。
ダニの中で怖いのはマダニで、マダニを通しての感染症の危険もあります。また、蚊によって媒介されるフィラリアは、心臓に寄生する虫なので命の危険にもさらされてしまいます。
吠えることで近所迷惑になることも
犬が吠えることは、自然なことですよね。しかし、この吠える声が近所迷惑になってしまうこともあります。犬が吠える時には何か理由があるので、しっかりと飼い主さんが判断して対処してあげないといけません。
アルファシンドロームを起こすことも
アルファシンドロームとは、犬が飼い主よりも自分が一番偉いと思ってしまうことです。外飼いの犬はどうしても飼い主さんとのコミュニケ―ションが不足しがちになってしまいます。飼い主さんの都合に合わせて、犬の相手をするので仕方の無い事ですよね。
しかし、このことから飼い主さんをリーダー(アルファ)と認識できずに問題行動を起こすこともあります。よって、しつけも難しくなることが多くあります。
犬は喋りかけてあげたり、コミュニケーションをとってあげることで、成長していく生き物なので、外飼いはその機会を逃しやすいということがデメリットであると言えます。
犬は室内で飼った方が良いこれだけの理由
外飼いのメリットとデメリットを見て、あなたはどう感じたでしょうか?メリットと言えども、これは飼い主のみのメリットで、デメリットは飼い主と愛犬の両方に言えることで、平等とは言い難いものになっています。
私は、犬は室内で飼った方がいいと思う派の人間で、その理由を実体験も踏まえてお話します。
犬は群れで生活する生き物
犬は社会的で、群れで生活することを好む生き物です。たとえ、家の中外であっても飼い主さんと離れて生活することは、犬にとって不安でしかないことを覚えておきましょう。
不安がストレスに変わってしまうことは大いにあり、頻繁に毛づくろいを始めたり、吠えたり、食糞してしまったり、飼い主さんの言うことを聞かなくなるなどの行動をすることがあります。
虐待を受けることもある(実体験)
犬を外飼いにしている場合、嫌がらせを受けてしまうことだってあるのです。私が子供の頃、外でアラスカン・マラミュートを飼っていて、性格はとても大人しく賢い犬でした。
無駄吠えなどもなく、とても可愛らしい子だったのですが1つだけどうにもならないことがあり、それは遠吠えをしてしまうこと。普段は大人しく静かにしていても、救急車やパトカーなどのサイレンの音にはどうしても反応してしまうのです。
ある日、遠吠えをしていたので見に行ったのですが、ちょうど隣の家の人が塀から何かを犬にかけているその時だったのです。かけられていたのはバケツに入った熱湯でした。
いつもは愛想の良い、人の良さそうなお隣りさんだったので、愛犬に対してそのようなことをされていたのを見たのは初めてでビックリしました。犬好きな人なら怒りが湧くのは当然のことですが、外で飼っている以上、どうしても近隣トラブルにも発展しやすくなります。
早急に両親に相談し、犬を安全な室内に移動させたのは言うまでもありませんでした。愛犬は怪我ややけどをしていなかったので、安心しましたが、このようなことだって起こりうるのです。
また、ご近所の外飼いの犬は、ネズミ駆除薬を与えられて悲惨な死を遂げた犬もいたようです。全ての人間が、犬が好きで慈しむ心を持っていると思ってはいけません。
脱走し、子供に怪我を負わせた犬もいる(実体験)
これも私が幼かったころのお話ですが、ご近所にラフ・コリーを外飼いしていたご家庭がありました。コリーが飼われていたのは、狭く左右にしか動けないような駐車場の一角に繋がれていましたが、ここの前の道は子供たちの通学路でもありました。
普段からあまり散歩も行っていなかったようで、犬もストレスが溜まり、神経質になっていたのでしょう。通りかかる子供が、学校からの支給品を振りながら歩いていた時、犬が紐をちぎり、柵を乗り越え、子供に飛び掛かってしまったことがあります。
犬からしたら遊んでほしかったようですが、オスの成犬で重さは24㎏~32㎏程あるので、小学生低学年の子供からしたらかなり大きいですよね。
いきなり飛び掛かってしまったので、子供は避けることもできずアスファルトで頭を強打し、さらに手にしていた支給品を犬が咬んだことで、ついでに手も噛まれてしまい大変なことになったことがあります。
犬は名犬ラッシーに似た可愛らしい子でしたが、いつの間にか飼育場所から姿が見えなくなり、風の噂では保健所に引き取られたと聞きました。飼い主さんがもっと注意をしておけば、防げた問題。あなたはどのように感じたでしょうか?
まだまだ、飼い主さんの色んな事情で犬を飼えなくなってしまい、保健所へ連れていかれる犬が後を絶ちません。犬の殺処分の現状について、『犬の殺処分の現状。殺処分ゼロの為に一人ひとりが考えたいこと』の記事で詳しく書いていますので、ぜひ一度目を通していただければ幸いです。
まとめ
犬の外飼いの注意点と、室内飼いをおすすめする理由をご紹介しました。外飼いだから楽ができると思っている方は、間違いだと私は思っています。
愛犬を身近におくことで、飼い主さんも犬も安心できる生活を送ることができ、より良い関係を築くためにも、私は室内飼いをおすすめします。
飼い主さんとのコミュニケーションが取れることで、犬の知能が発達し、感情も豊かになります。犬を外飼いしようかと迷っている方は、もう一度考え直してみてもらえると嬉しいです。