猫には鈴を付ける、というイメージをお持ちの方は多いと思います。でも実際には、鈴を付けている猫は最近ではあまり見かけなくなったように思いませんか?
それは猫に鈴を付けるのはよくないと言われ始めているせいなのかもしれませんが、では何故猫に鈴を付けるのはよくないと言われているのかを紹介していきたいと思います。
それと同時に、猫には鈴を付けるというイメージが付いてしまったのはどうしてなのかも、合わせて紹介していきますので、是非参考にしてみてください。
目次
猫に鈴を付けるのが猫にとって良くない理由
鈴の音によるストレス
猫に鈴を付けることがよくない理由に、猫に与えるストレスがあげられます。猫は神経質なうえに聴覚が大変優れている生き物です。
鈴付きの首輪を付けてしまうと、猫が動くたびに耳のそばでチリンチリンと音が鳴ることになってしまい、この音に猫は当然ストレスを感じてしまうこともあるのです。
成猫になってからある日突然鈴付きの首輪を付けたりした場合、猫は自分が動くごとに鳴る鈴の音にパニックになり、部屋の隅などに隠れてしまうこともあります。
飼い主さんからすれば、可愛いらしくしてあげようと思ってしたことでも、猫にとってみればストレス以外のなにものでもないのかもしれません。
猫にとってストレスになることを、『猫がストレスを感じた時の行動とは?ストレスフリーな生活をさせる為にできること』の記事で更に詳しく解説しています。
首輪による窒息事故
猫に鈴を付けるには、その大前提として首輪を付ける必要があります。
室内飼いをしている猫でも、何かの拍子に外に出て迷子になった時にも大丈夫なように首輪を装着してそこに飼い主さんの住所や電話番号を記載しておくようにすすめている方も多くいるでしょう。
それはとても理にかなってはいるのですが、その目的で付けられた首輪による猫の窒息事故が少なくないのも事実です。猫は上下運動を好みますので、高い場所にも平気で登っていってしまいます。
外に出た時には木の上にも登ることはもちろんあり、木の枝に首輪が引っかからないともいえません。
室内でもジャンプしたはずみで何かに首輪がひっかかる可能性も捨てきれないでしょう。引っかかった時にすぐに首輪だけが外れれば問題ないのですが、万が一そうならなかった時には窒息事故が起きてしまいます。
飼い主さんへのストレス
耳の近くで常にチリンチリンと鳴る鈴の音が、猫にとってストレスになると紹介しましたが、この鈴の音は飼い主さんにとってもストレスになる場合があります。
猫は基本的には夜行性の生き物ですので、飼い主さんが眠りについた後に活動を始めることも多いです。
部屋が暗くなった途端に走り回ったり、キャットタワーを上り下りしたりし始めると、猫が活動している間はずっと鈴の音が鳴り続けることになってしまいます。
それでは飼い主さんは、ゆっくり寝ているどころではなくなってしまうでしょう。起きている時には左程気にならない鈴の音でも、寝ている時に長時間聞かされるのはかなりのストレスに繋がってしまいます。
猫に首輪は必要か否か
昔から猫には鈴を付けるというイメージが人の間では植え付けられてきましたが、その時と今とではだいぶ生活環境も変わってきているはずです。
猫がなぜ鈴を付けるようになったのかは、次の項目で詳しく説明しますが、当時は鈴を付けることによるメリットが大きかったのかもしれません。でも現在ではデメリットの方が大きいような気もします。
ここ数年、猫は完全室内飼いにしている方がほとんどではないでしょうか。
迷子になった時のために首輪の装着をすすめている方もいますが、首輪をすることによる窒息事故や外れかけた首輪がタスキ掛け状態になり腕を脱臼してしまう事故、中途半端に外れかけた首輪が半分口に引っかかり口腔内を切ってしまう事故など、首輪を付けていたことによる事故の発生はなくなりません。
迷子のリスクを考えて首輪をするのであれば、首輪による事故のリスクを考えて、脱走ができない環境を整える方が先決ではないでしょうか。
飼い主さん以外にはなかなか心を開かない猫は、迷子札を付けていてもなかなかそれを他人に触らせないかもしれません。
万が一外に出てしまうと、首輪が引っかかる以外にも危険はたくさんありますので、猫が脱走できない環境を整えておけば、外に出て車などに引かれる事故に合う危険もなくなり、室内で首輪をする必要もなくなります。
そうすることで、首輪による事故のリスクもなくなることになります。迷子になった時の為ではなく、迷子にさせない環境作りという風に視点を変えれば猫に首輪は必要のない物になっていくでしょう。
猫に鈴を付けるイメージが生まれた理由
農作物を守るため
猫に鈴を付けるようになったのは江戸時代の頃と言われています。
これは飼い猫に鈴を付けて畑をウロつかせることで、ネズミに猫の存在を知らせ畑から追い出すことが目的だったようです。その結果、農作物をネズミから守ることが可能となりました。
人を守るため
猫の鈴にはもう一つ大切な役目がありました。それは鈴を付けた猫を畑でウロつかせたように、人の周りにもおいておくことでネズミを人に近付けない働きをするためです。
江戸時代の頃は、寝ている時などにネズミにかじられると、そこから病気に感染してしまうことが多くありました。
病気の感染を防ぐためにもネズミが苦手としている猫の存在は大切で、ネズミに猫の存在を分からせるように鈴を付けていたのでしょう。
獲物の捕獲を防ぐため
猫は自分の狙った獲物を捕獲すると、それを飼い主さんに見せにくる性質があります。
この性質は長く年月が経っても変わらずに残っていて、外で自由に遊んでいた時代の猫は、ネズミや小鳥などの獲物を捕獲するとそのたびに飼い主さんのところまで運んでいました。
猫にとっては、獲物は捕獲して飼い主さんに見せるところまでが遊びの流れで、その後は獲物には用はなくなってしまいます。餌は十分にもらっていますので、食べることもしません。
それを毎回片付ける立場の飼い主さんが困り果てて、捕獲対象であるネズミや小鳥に猫の存在を知らせる意味を込めて鈴を付けたとも言われています。
そのような理由から、猫には鈴を付けるのが習慣付いてしまい、現在でも猫には鈴を付けるイメージが強く残っているのかもしれません。
猫の居場所を知るため
猫は自由気ままに過ごすイメージがあります。それは完全室内飼いになっていることの多い現在でも同じことではないでしょうか。
猫は飼い主さんでは手の届かないような高い場所や、とても入ることのできないような狭い場所が大好きです。
飼い主さんの目の届かない場所にいってしまった時にも、名前を呼ばれたことにより猫が少しでも動いてさえくれれば、その音で場所の検討を付けることができます。
どこに居るのか分からないこともある猫には、鈴を付けることにより居場所を確認する方法を取ったのだといえます。
猫の首輪や鈴が本当に必要かどうかを、『猫の首輪が原因でハゲる!?ハゲない為にできる事と首輪の必要性』の記事でも詳しく書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
猫に鈴をつけるのはよくないと言われている理由と、何故猫に鈴を付けるようになったのかを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
確かに猫の気持ちになって考えてみると、自分が動くたびに耳の近くで鈴が鳴っていたのでは、ストレスにも感じてしまいますよね。
昔は鈴を付けてそれが鳴ることで、大事な働きを担っていたのかもしれませんが、今ではその意味での鈴は必要のないものといえます。
装飾の意味だけで付けているようでしたら、首輪が元で起こる事故のリスクを考えて、外してあげるほうがいいのかもしれません。
どうしても首輪を付ける必要があるのでしたら、どこかに引っかかるなどの圧力が加わると首輪が外れるセーフティロック付のものがありますので、そのような物を使用するといいかもしれません。
セーフティロック付の首輪は、その圧力によって外れる時と外れない時があるようですので、利用する際には猫に装着する前に飼い主さんがよく確認するようにしてください。