突然の大雨に伴い雷が起こった時に、ふと飼い犬をみたらぶるぶる震えていたなんてことはありませんか?実は、雷を怖がる犬は意外と多いようです。
では、何故犬は雷を怖がるのか、ぶるぶる震える程に怖がっている時には、どうしてあげたらいいのかを紹介していきますので、是非参考にしてください。
目次
犬が雷を怖がる理由
雷恐怖症
外で雷がゴロゴロと鳴り始めた時に、犬が震えたり尻尾を丸めたりするいつもと違う異常な行動を総称して「雷恐怖症」と呼びます。雷恐怖症には下記のような症状があります。
- 身体がブルブルと震える
- 息遣いが荒くなる
- 落ち着きがなくなる
- 食欲がなくなる
- よだれをだらだらと垂らす
- 失禁や嘔吐をもよおす
- 脱走しようとする
- 何かの下や隙間に隠れようとする
雷の音は通常の生活では滅多に耳にしない音であり、犬にとっては発生源が分からず理解のできない音になります。
そのため、理解不能な音にストレスを感じてパニック状態に陥ってしまうことがあるようです。身体の震えなどの症状は、パニックによる拒絶反応となります。
雷恐怖症は、年齢と共に悪化していく傾向があるといわれていますので、老犬の場合には身体にもかなりのストレスと負担がかかります。、たかが雷などと侮らずに十分注意をする必要があるでしょう。
雷恐怖症の原因
犬が雷恐怖症になってしまう原因は大きく分けて3つほど考えられます。
- 雷の音や、視界に入る光
- 気圧の変化を感じとる
- 静電気の刺激が不快
犬は人が感じ取らないような気圧の変化などを敏感に察知し、それを恐怖と感じてしまうこともあります。また、その犬の親が雷恐怖症だった場合、その子どもも雷恐怖症になる確率は比較的高いといわれています。
初めて雷に遭遇した時に、運悪く飼い主さんが側に居なくて怖い思いをした場合なども、そのまま雷恐怖症になってしまうことも多く、雷に伴う雨や風の音も次第に怖がるようになっていくケースも多いようです。
飼い主さんのなかには雷が苦手な方もいると思いますが、飼い主さん自身が雷が起こるたびに怖がった様子をしていると、犬は飼い主さんの気持ちを感じ取り雷は怖いものだと学習してしまい、その結果雷恐怖症になってしまう場合もあります。
雷に怖がっている犬との寄り添い方
いつもと変わらず接する
犬が雷恐怖症を起こしている時には、慌てず騒がず飼い主さんは平常心で対応することがおすすめです。
犬はいつもと違う行動をして飼い主さんを困らせることがあるかもしれませんが、それを叱ったり強引に制止しようとしたりすることは決してしないでください。あくまでも冷静に「大丈夫よ」と優しく声をかけて、軽く抱きしめて撫でてあげるようにします。
この時の注意点としては、過剰に抱きしめたり撫でたりすることはしないようにします。いつも以上に構い過ぎると、飼い主さんのいつもと違う様子に犬は更に恐怖を募らせてしまう恐れがあるからです。
あくまでも冷静に、「何も怖いことはないんだよ」という態度を犬に見せるようにしてください。飼い主さんが平然としていれば、犬はそんな飼い主さんをみて「大丈夫なのかな?」と思うようになっていくこともあります。
また、恐怖心があったとしても、飼い主さんが堂々としていれば、その側にいることで自然と安心感が生まれて気持ちも落ち着いてくるでしょう。
安心できる場所を用意する
雷恐怖症の犬は、何かの隙間にもぐりたがることがよくありますよね。雷が鳴り始めた時に避難できるような、そんな場所を作っておいてあげるのもおすすめです。
普段ケージを使用しているのであれば、ケージに入れて毛布などでケージを覆ってしまう方法もいいでしょう。
ただし、パニックになるとケージから飛び出そうとしてしまうこともありますので、思わぬ事故に繋がらないためにも扉は開けたままにして自由に出入りできるようにしておきましょう。
外犬の場合
外で飼育している犬の場合には、可能な限り室内に入れてあげるようにしてください。
雷のせいでパニック状態になってしまうと、いつも以上の力を発揮して、そこから逃れようと脱走をしてしまう恐れがあります。人でいう火事場の馬鹿力というやつです。
パニック状態で敷地外へ脱走してしまうと、その勢いでやみくもに走っていってしまい迷子になってしまうかもしれませんし、車などとの接触事故に合いかねません。
急な豪雨や雷の場合は仕方ありませんが、できれば天気の様子をチェックして雷が起こりそうな予報が出ている日には、早めに室内やそれが無理であれば玄関内などの建物の中へ入れてあげるようにしてください。
雷が起きている最中に移動をさせる時には、犬は恐怖のあまりいつも取らないような行動を取ってしまう可能性がありますので、首輪やチェーンの付替えなどには十分注意をしながら行うようにしましょう。
系統的脱感作(けいとうてきだつかんさ)と逆条件付け
雷に限らず、何か苦手なものを克服するために行う方法の一つです。
雷を克服するためには、雷の音を録音した物を利用して、まずは小さな音でそれを流します。音は少しずつ音量をあげていき、犬が少しでも怖がる仕草を見せたらすかさずおやつを与えましょう。
このおやつをあげる行動を「逆条件付け」といって、嫌なことが起こっている最中にそのまったく逆の嬉しいことをしてあげることを指しています。
おやつでなくても、犬が大好きな遊びでも構いませんが、雷克服の場合には遊びにはなかなか乗ってこないかもしれませんので、おやつが効果的であることが多いようです。
これを繰り返していくことで、雷は嫌で怖いことだけど、雷が鳴るとおやつが貰えたり飼い主さんが一緒に遊んでくれたりする嬉しいことも起こると学習していけば、恐怖心も段々と和らいでいく可能性があります。
系統的脱感作と逆条件付けは、必ず同時に行うようにして、根気よく試してみてください。ただし何度か試してみても、雷の音にパニック状態になりおやつに全く見向きもしないような場合には、この方法は向いてない可能性があります。
その場合には、あまりしつこく行うのが逆効果になってしまいますので、他の対処方法を考える必要があるでしょう。
特殊素材の洋服を着せる
雷恐怖症は、その音だけでなく静電気のせいであることも多いです。音に関しては、先に紹介した系統的脱感作を行っていくことで軽減することもありますが、これは静電気には効果はありません。
静電気による不快感を軽減するために、犬用に特殊素材で作られた洋服を着せる方法があります。
サンダーシャツ
犬の行動学に基づき設計されていて、犬の身体に適度の圧力がかかるようになっています。
この適度な圧力により安心感を持たせ、不安解消効果をもたらすようです。飼い主さんと離れると落ち着きがなくなってしまう「分離不安症」の犬にも効果があるといわれています。
ストームディフェンダーケープ
サンダーシャツと構造はほぼ同じです。これを装着することで、静電気を感じにくくしてくれますので、不快感が減ることで落ち着く犬も多いといわれています。
恐怖症状がひどい場合
あまりにも雷による恐怖症状がひどい場合には、動物病院へ相談するのも一つの方法です。
雷が起こるごとに嘔吐や下痢をしてしまう犬は、それが原因で急激にストレスを感じているはずですので、最悪の場合はショック死してしまうこともあるといわれています。
飼い主さんでも対応できない程パニックになってしまう犬なども、一度獣医さんに相談をしてみましょう。薬を服用することで、不安を解消する薬事療法もありますので指示を仰ぐようにしてください。
その他にも犬がストレスを感じることを、『気をつけて!犬にとってのストレスになる要因とやってあげたいストレス解消法!』の記事でも紹介していますので、ぜひ合わせて参考にしてみてください。
まとめ
犬は人よりも聴覚がすぐれているだけでなく、身体全体が被毛で覆われていますので静電気の影響も受けやすいです。雷を嫌がる犬が多いのは、これらの理由も考えられます。
その犬の特性を理解し、パニックになって騒いでいるからといって叱ったり、そのうち治まるだろうと放置をしたりすることはせずに、必ず対応をしてあげてください。