犬がケージを噛んでしまうとケージが壊れるだけではなく、犬の口も傷ついてしまう事もありますし、飼い主さんとしては心配ですよね。
ひどい時は飼い主さんの顔を見ながら「ガリガリ」と楽しそうに噛んでいる事もあります。「やめて!」と慌てて飛んで行くと嬉しそうに尻尾ふっている、なんて事はありませんか?
子犬がケージを噛むのも珍しい事ではありません。でも、すごく噛む子犬とそれほどやらない子犬がいて、程度が違うのは何でなのでしょう?今回はケージを噛む犬の主な原因と、それに合わせた対処方をご紹介しましょう。
目次
犬がケージを噛む原因
子犬は好奇心いっぱいです。口に入れてみて「これは何だろう」という気持ちなのでしょう。
大きくなるにつれてしなくなる事が多いですが、できるだけしないように仕向けたいですよね。
また、成犬になってもケージを噛んでしまう場合は心の病気であったり、犬の訴えであったりする事があります。しないように仕向けるにはまず理由を知らないといけませんよね。では、早速理由をご説明していきましょう。
子犬は歯がかゆい
生後4~5か月頃には子犬の歯から成犬の歯に生え変わりが始まります。乳歯は28本、生え変わった後の永久歯は42本になります。
この時期は歯がムズムズしてかゆいので、これをきっかけにケージを噛むようになる事があります。
犬は元々「噛む」という行為が好きです。子犬は特に好奇心からおもちゃのように噛んでしまうことがあります。
ケージに慣れていない、またはケージが嫌い
ケージが安心できる場所である事をまだ理解できていないと、犬はケージを噛んで出ようとする事があります。
犬の祖先である狼は休む時に洞穴などに入って休むのですが、これは後ろから襲われたりする事がない安心できる環境だからだと言われています。
犬も同じように広い部屋の中にずっといる事よりも、ケージという寝床があることは安心に繋がります。
ケージが安心できる場所として教え方を間違ったり、「叱る時にハウスさせる」など嫌なイメージをつけてしまうとケージに入っている事がストレスになり、ケージを噛むという行為に繋がってしまうのです。
その他にも犬のストレスになることは多くあります。詳しくは、『気をつけて!犬にとってのストレスになる要因とやってあげたいストレス解消法!』の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
破壊行動は不安、不満の表れ
犬にとって不安があったり、不満があったりする場合にいろいろ形で訴えます。
例えば「吠える」もしくは「吠え続ける」、「前足をずっと舐める」などの行為や「ケージを噛む」という行為をする犬もいるのです。犬が物を壊して飼い主に訴えるこの行為を「破壊行動」と言います。
分離不安からケージを噛む
飼い主と離れるという行為が犬にとって不安で問題行動を起こす場合があります。例えば「吠える」「ベットやタオルに排泄する」「ケージを噛む」という行為。
また、飼い主が出かける準備を始めると落ち着きがなくなったり、飼い主が帰宅した時にとても興奮している事があります。
これを獣医さんは「分離不安症」と言って、心の病気という扱いになります。お薬の処方をする場合もあります。次に分離不安になる仕組みも例をとってわかりやすくご説明しますね。
分離不安の仕組み
例えば「留守番させるのはかわいそう」と思いながら留守番させると、犬にその気持ちは伝わってしまいます。かわいそうというネガティブな気持ちが伝わるのです。
犬は飼い主のそのネガティブなイメージを留守番のたびに受けるため、不安を解消しようと例えば「ケージを噛む」という行為になってしまうのです。
発散ができていない
たまにケージを噛むとか、最近ケージを噛むという場合は犬が発散できていない状況になった時にする事があります。
例えば、飼い主さんが仕事などで忙しくて犬に十分な運動時間がない場合や飼い主との十分なコミュニケーションを取る時間をもてない事でストレスになり、ケージを噛むという行動に繋がってしまう事があります。
構って欲しい
発散できていないことに繋がるのですが、犬がケージを噛んでいる時、飼い主さんが慌ててかけ寄って叱るという事があった場合、犬はケージを噛むと飼い主さんが来てくれて、うまくいけばケージから出して遊んでもらえると勘違いしている事があります。
冒頭に飼い主を見ながらケージを噛んでいるような犬は、この事を学んでしまった場合にするのです。犬は飼い主さんと「もっと遊びたいよ」と言っているのでしょうね。
犬がケージを噛まないようにする方法
ケージを噛むという行為の理由をご説明してきましたが、「うちは運動量が足りないかも」と思っても、どの程度の時間お散歩させれば良いか悩んでしまいますよね。
大きさ別にお散歩時間のだいたいの目安や犬が満足した時の合図もご紹介しますね。
子犬も遊んで運動させる
まだお散歩に出れない子犬でも運動はストレス解消になります。ケージから出して十分遊ばせる時間を持ちましょう。
1日5~10分程度を3回から始めて、子犬の状態によって時間を増やしてあげましょう。
子犬にとっての程よい遊び方について、『遊びすぎ?子犬にとって良い遊び方を解説!』の記事で詳しく紹介しています。
お散歩で発散させよう
小型犬は特にお散歩の必要性を感じない飼い主さんもいらっしゃいますが、お散歩は社会性を養う事にもなりますし、小型犬も必要です。
大きさによっても必要な時間は違います。お散歩のおおよその目安は以下を参考にしてください。
- 小型犬:朝夕に各15~30分くらい
- 中型犬:朝夕に各30~45分くらい
- 大型犬:朝夕に各1時間くらい
満足した時の合図
犬種でも満足するお散歩の時間は違います。例えば「ジャックラッセルテリア」という小型犬は元々がキツネ狩りのお仕事をしていた犬なのですが、運動量は大型犬と同じくらいの量が必要です。
小さな体ですが、とてもパワフルな犬は意外と多くいます。このように犬の種類によって運動量の違いがあるのですが、愛犬がどうなったら満足なのか判断に迷いますよね。
犬がどうなった時に「満足した」の合図なのか、個々に違いはあるのですが目安として例をご紹介しましょう。
- 家に帰ろうとする
- 立ち止まる
- 座り込む
- 伏せて動かなくなる
ドックランなどに連れて行って走らせよう
お散歩ではゆっくり歩く事が多いのではないでしょうか。運動量が多い犬種や特に中型犬クラス以上の犬は歩く程度のお散歩だけでなく、走らせる事も必要です。
他の犬と仲良くできる犬でしたら、ドックランなどを利用する事が良いでしょう。
ドッグスポーツに参加してみる
飼い主と愛犬が一緒に参加できるものや愛犬の足の速さを競うものなど、ネットで検索すると多数出てきますよ。近くで開催される場合は思い切って参加されてみるのも良いのではないでしょうか。
また好奇心旺盛で知能を使う事が得意な種類であれば、アジリティなどもチャレンジしてみても良いでしょう。
ケージを変える
噛むようになってしまったケージは何でできているでしょうか。
例えば、木製やプラスチック製の物は噛んだ時の感触が気に入ってしまい、癖のように噛んでしまう事があります。その場合はスチール製のケージなどに変えると良いでしょう。
市販の噛む事を防止するグッズを使う
市販の噛む事を防止するスプレーが多数販売されています。これは苦い味がするので、犬が嫌がる事を利用したスプレーです。
一定の効果は期待できますので噛む事が癖になっているような場合は、根本の原因の改善をしながら併用して使うと良いでしょう。
おもちゃを与える
犬が転がすとドライフードが出てくるというおもちゃがあります。ケージの中でそのようなおもちゃを使ってあげると、食べる事が好きな犬にとって暇つぶしになります。
また、ロープ型のおもちゃなど噛んで遊べるタイプのおもちゃを与えておくことも有効です。ただし、誤飲の危険性のないおもちゃにしましょう。
特に口に入ってしまう位の物や割れて細かくなるような物は危険です。飲み込んでしまうと開腹手術しなければならなくなる事があります。
ケージの場所が落ち着かない
犬の性格によっても違ってくる事があるのですが、ケージを置いた場所がテレビの脇だったり、人の行き来が多い場所だったりする事で犬が落ち着かず、ストレスを溜める事があります。
最初にお話ししたように洞穴のような感じにしたあげると落ち着く事から、部屋の端で後ろと片側が壁になっていると安心しやすいようですよ。
分離不安は専門家の相談する
分離不安かもしれない場合は獣医さんやドッグトレーナーさんに相談する方が良いでしょう。
これは飼い主さんが良かれと思ってやっていた事が犬を不安にさせていたり、飼い主さん自身が犬に対して依存していて改善しにくいからです。
ケージの中に入ると、鳴き止まなくなる状態になる場合には、『子犬がケージで鳴くのをやめさせたい!ケージのしつけを覚えさせる方法』の記事も合わせて参考にしてみてくださいね。
まとめ
犬は生後6ヵ月でほぼ成犬の大きさまで成長します。そして、亡くなるまでは10年から長くても20年ほどです。
人と比べるとほんの少しの時間にいろいろな刺激を与えて、退屈をさせずに飼ってあげる事はとても重要だと感じるのではないでしょうか。
また犬の前足などが急にハゲたり、ケージを舐めたりかじったりする行為は、主に「暇だよ」という犬の合図である事が多いのです。
たくさん遊ばせてケージは安心のできる場所としてゆっくり休むというのが理想ですね。