犬を飼うことになった時、最初に教えるのはトイレのしつけですよね。トイレのしつけは犬のしつけの基本です。これが意外と苦労するんですよね。犬の性格や性質を見極めには時間がかかることですから仕方ありません。
でも、大丈夫。犬を飼うと試行錯誤してその犬に合ってしつけを教えていくのですが、一般的に犬が覚えてくれやすい方法というのはあるのです。
失敗を繰り返す愛犬をお持ちの飼い主さん、やってしまいがちな間違いをご紹介していきますので思い当たる点を探してみてください。きっと改善の糸口が見えてきますよ。
犬のトイレのしつけが必要な理由
そもそも犬にトイレのしつけをするということは、犬と人間が暮らすための一番最初で一番大事なルールですよね。ですからトイレのしつけをしないという人はいないでしょう。
飼い主はその犬にトイレのしつけをすることで、その犬の性格や性質を理解していくのです。しつけはその先にたくさんの項目が待っています。その項目としては、
- ハウス
- オスワリ
- フセ
- マテ
- コイ
などのコマンドと呼ばれるものがあります。これらは犬と人が安全に暮していくのに重要なものばかりです。
トイレのしつけをすることでその犬を理解して、これらの項目をしつけていく「下地」となる部分になるわけです。犬にとっても飼い主さんにとってもトイレのしつけは学びとなる難しいものなわけなのです。
こう言われると「え~っ!」と思われる飼い主さんもいらっしゃるでしょうが、愛犬が好きなら問題ないですよ。
なぜならその犬がどんな性格でどんな性質かを知っていくことは何より楽しいですし、愛犬のことを知る喜びもありますよね。
では、まず犬にトイレのしつけをしなかった場合に起こる困りことが3つあるのでご説明します。
- 不衛生になる
- 住まいを痛める、または住まいを無くす
- お出かけに連れて行けなくなる
これから犬を飼おうと思っている方は「そんなこともあるんだ」と驚かれることもあります。犬を飼っている方は改めて考えることもなかなかないでしょうから、その必要性を再認識してみましょう。
不衛生になる
犬に決まった場所で排泄させて、飼い主が処理するということができなければまず不衛生な環境になってしまいます。それに今は室内飼いが多くなりましたよね。
外飼いの犬でも排泄物をそのままにしてあれば不衛生ですし、場合によっては苦情になることもあるのです。
それが室内飼いである場合、トイレのしつけができていないともっと大きな問題となってしまいます。賃貸である場合は修繕費として金額を請求されることもありますし、近隣からの苦情が多ければ立ち退きになることもあります。
家が傷む、近隣からの苦情から通報される
犬が標識に犬がおしっこをかけ続けたことで根元が腐り、標識が倒れて通行人が怪我をするという事故が発生してニュースになっているのをご覧になった愛犬家の方も多いですよね。
犬が散歩中に「マーキング」することで起きた事故です。「マーキング」とは犬が本能的に行う行動で、縄張りを守るために自分の存在を他の犬に誇示するための行動です。
これはオス犬だけの行動ではなく、メスもまた発情期が来ると同じようにマーキングをします。室内飼いでトイレのしつけをしなかった場合、犬は部屋のあちこちで排泄してしまいます。
家具が傷むことはもちろん、家電にかかれば漏電して火災になるおそれあります。また排泄物が家の畳みや木材などに染み込むと腐ってしまうこともあります。基礎となる部分や家を支える柱の根元にしていれば家自体の強度に関わることです。
においがすれば近所からの苦情にもなりますし、そこで近隣トラブルになる場合もあります。
また、そういった近隣の方が保健所や生活衛生課などに通報されることがあります。そうすると行政の方が注意喚起や改善を求めて何度も家に来ることがあるのです。
旅行などで泊まる場合に困る
旅行などに犬を連れて行かれる飼い主さんが増えましたよね。ペットと泊まれるペンションや旅館なども増えましたし、人気があります。そういった場所に犬を連れて行く場合には必ずトイレのしつけは必要になります。
出先でも飼い主の指示で排泄を促すことができるといろいろと便利です。高速のサービスエリアでも車の室内でもペットシーツですることを覚えていれば場所を選ばずに排泄させることができます。
飼い主さんが犬に指示して排泄するしつけができていると「我慢していないかな?」などと心配する必要がなく、飼い主さんも安心してお出かけを満喫できますよね。
犬がうんちをする場所の正しいしつけ方
トイレのしつけは大きい場所のトイレから最終的にして欲しいサイズまで小さくすると成功率が高いです。「ここならどこでもいいよ」というサークルなどで囲った広い場所を用意します。そして少しずつ小さくしていくのです。
そこで犬の排泄のタイミングと合図となる犬のしぐさを知っておくと良いですよね。トイレの設置する場所や気を付けた方が良いポイント、しておいた方が良いしつけについてもご説明していきますね。
人があまり出入りしない落ち着く場所
ドア付近など人がよく出入りするような場所では犬が落ち着けません。部屋の端など人の動きが気にならない場所にトイレを設置します。
特にうんちは落ち着かない場所では嫌がる犬が多いです。うんちだけは場所が定まらないという場合はこの点を確認してみましょう。
場所をコロコロ変えない
先ほど落ち着かない場所に設置してしまった場合には場所を変えるとご説明したのですが、設置した場所を「やっぱりこっちがいいかな」「でもこっちの方がいいかも」とコロコロ場所を変えると犬か失敗する要因になります。
犬がせっかく覚えはじめた時に変えることで、また最初からやり直しになってしまうことがあります。
移動する場合は吟味して最小限にします。トイレを覚えてからでしたら移動も大丈夫です。部屋の模様替えは犬がトイレを覚えてから行いましょう。
排泄のタイミング
犬が排泄をしたくなるタイミングがあるのでご紹介します。しつける前に覚えておきましょう。
- 目が覚めた時
- 遊んだ後
- 水を飲んだ後
- 食事の後
特に食事の後はうんちのタイミングです。逃さずトレーニングしましょう。
トイレをしたくなった時にするしぐさ
犬がこんな風に動き回っていたらトイレの合図です。このしぐさをしたらトイレに連れて行きましょう。
- そわそわと落ち着かなく歩きまわる
- においを嗅ぎまわる
- クンクンと鳴く
犬に排泄を促す言葉を教える
先ほど出先で犬に排泄を促せると良いですとご説明しましたが、やり方としては「声掛け」です。排泄タイムには犬にわかりやすい言葉で排泄を促すのです。
「ワンツー」や「チッチ」など犬が聞き取りやすく、覚えやすい言葉で教えます。そして、トイレに入れて尿と便の両方排泄するまで待ちましょう。トイレを済ませたら片付けながら犬をほめます。
排泄の言葉を覚えさせることで、この言葉を言われると「安心して排泄できる」そして「飼い主さんにほめてもらえる」という認識をもたせることが重要です。
犬のしつけはタイミングが重要
犬は叱られていることやほめられていることが明確でないと関連付けがうまくできず、誤解した解釈になってしまうことがあります。
では、ここで飼い主さんに問題です。犬がトイレに入っておしっこをします。どのタイミングでほめたら良いでしょうか?
答えは「おしっこをし始めた時」です。
犬がトイレでおしっこをし始めた時に「えらいね」「いい子だね」と高い声で静かにほめます。
そして、終わって犬が立ち上がった時に声も大きく出して、手を叩いたりオーバーリアクションで盛大にほめます。うんちをした時も同様です。世界中で一番いい子くらいの気持ちでほめてあげてくださいね。
においを残さない
失敗してしまった時にお掃除しますが、これが不完全だと失敗を繰り返す原因になってしまうことがあります。しっかり拭き取って消臭を行いましょう。
洗える物であれば洗濯してしまうと良いです。しつけが入るまでパズルのようにはめておく、部分的に外れるカーペットなど使うと便利ですよ。
やってはいけない犬のトイレのしつけ方
「ちゃんとやってるんだけど、トイレをなかなか覚えてくれない」と嘆く飼い主さん、それは飼い主さんのちょっとの間違いで犬が「誤解」している場合があります。その誤解がとければ愛犬も「おトイレ上手」になってくれますよ。
犬にトイレのしつけをする際にはやってはいけないしつけ方がいくつかあるのです。ではなぜそのやり方をしてはいけないのかを含めて対処までご説明していきましょう。
排泄場所を間違えても叱らない
犬が排泄場所を失敗しても飼い主さんは叱ってはいけません。うんちを失敗した時に犬を叱ると犬が勘違いしてしまうことがあるのです。
叱ることで犬は「うんちをしたら怒られた」と思い、飼い主さんから見えないカーテンの裏やテーブルの下などで排泄するようになってしまうことがあります。
食糞症
うんちに場所を間違えた時に犬を叱ってしつけた場合、証拠を消すためにうんちを食べてしまうことがあるのです。これは「食糞症」といって本能的にもすることがあるのですが、その場合は犬が自分の匂いを消す行動です。
先ほどマーキングと言って犬が「自分のにおいをつける行動」をご説明しましたが、本能的にする場合は「自分のにおいを消す行動」ということです。
例えば子犬の時は好奇心から興味本位で食べてしまったり、口に入れて食べられるものか判断するという習性があり、またそういう時期なので食糞をすることがあります。
この行動は人と暮らしていくうちに「必要がない」とわかると自然にしなくなっていくのですが、犬がうんちをして繰り返し叱られて「食糞」が始まった場合は犬の自然な行動ではありませんので飼い主さんが改善をしていかなければなかなか治りません。
そういった習性があることを知らずに食糞をしているところを初めて見るとビックリされますよね。
愛犬が食糞しているところを見つけて大騒ぎしてしまった場合、犬は飼い主さんが「食糞は楽しいことなんだ」と勘違いしてしまい、止めさせようと抱き上げたりすることで「構ってもらえる」と勘違いして繰り返すことがあります。
対処の仕方は犬が場所を間違えてうんちをしても叱らないことと、食糞を見付けても慌てないで騒がないで、それ以上食べないように淡々と片付けることです。
犬が自分の糞を食べてしまう原因や、対策については『犬が食糞してしまう原因を解説!食糞をやめさせる方法も合わせて紹介します』の記事で更に詳しく紹介していますので、合わせて参考にしてみてくださいね。
楽天的な犬は叱られていると思っていないことがある
犬の性格によってはこんな勘違いをすることがあります。楽天的な犬は排泄を間違った場所でした時に叱った場合、飼い主に叱られていると思わず「話しかけられてる」または「構ってもらっている」と勘違いしてしまいます。
叱っているのに犬がはしゃいでいるようでしたらこんな勘違いからなのです。
その場合の対処は犬がトイレを失敗しても大騒ぎしないこと、そして近づいてきた犬を振り払ったりすることも誤解するのでしないことです。
犬は「トイレ以外の場所で排泄すると構ってくれる」「遊んでくれる」と勘違いすると、わざとトイレを失敗するようになってしまうことがあるのです。片付けする飼い主に犬がはしゃいで寄って来ても反応せず、黙って片付けましょう。
トイレの催促の言葉は統一する
安心してトイレをするようになるのでトイレの催促の言葉を覚えてもらうことが必要とご説明しましたが、トイレの催促の言葉は家族で統一しておきましょう。
その家庭でお使いになりやすい犬にわかりやすい言葉であれば良いですが、お父さんが「うんち」でお子さんが「シーシー」、お母さんが「ワンツー」などバラバラに教えてしまうと犬が混乱します。犬
を飼う時にはトイレを催促する言葉も家族会議で決めておくと良いですね。
タイミングを外したほめ方
先ほどご説明したようにトイレのほめるタイミングは「おしっこをし始めた時」ですが、このタイミングを飼い主さんが意外と外してしまっている場合が多いので理由も含めてご説明しましょう。
まず「トイレに入った段階」でほめると飼い主に「構ってあげるよ」と言われたと勘違いして、犬がトイレをしないで出てきてしまったりして、結果的にはトイレを失敗することがあるのでタイミングとしては早いのです。
次に「おしっこが終わって出てきた段階」だと犬は「トイレから出てきたことをほめられた」と勘違いしてしまうことになるので、「トイレができた」ことを伝えるタイミングにはならず、せっかく覚えるチャンスを逃すことになりタイミングとしては遅いのです。犬はその瞬間にほめることが重要なのですよ。
犬がうんちだけ外してしまう原因と対処法
「おしっこはトイレでするんですが、うんちは違う所でしちゃうんです」というご相談は意外と多いです。
おしっこよりうんちをしている時間が長いため、失敗している瞬間を見付けることが多く、飼い主さんが叱ったり声を上げて騒いだりしたことが原因のことが多いです。
その場合の対処は先ほどご説明した通り、慌てず騒がず淡々と片付けましょう。
しかし、その他にもうんちだけトイレでしてくれない理由がいくつかあります。では、その対処法も合わせてご紹介していきましょう。
トイレと寝床が近い場合
犬をケージ飼いしている場合、寝る場所とトイレが近いことが原因でうんちを外してしまう場合があります。犬は寝る場所は清潔にしておく習性があるので、トイレは遠くで済ませたいのです。
ケージの大きさをもう少し広いスペースを確保する、またはトイレは別の場所に設置するなどの工夫をすることで改善される場合があるのです。
きれい好きな場合
トイレで先に尿をした場合、その場所は汚れているので嫌がる犬もいます。においを嗅いで他の場所を探してするようでしたら、この可能性があります。
その場合はペットシーツをまめに交換することはもちろんですが、ペットシーツを大きいサイズに変えてトイレの大きさを広くしてあげることで改善することがあるのです。
ペットシーツの質を良い物にするとにおいが抑えられ、尿をした後のペットシーツで足が濡れることを嫌う犬はペットシーツを変えることで改善する場合があるのです。
トイレから犬を出すのが早い場合
ご飯を食べた後の排泄タイムの時は特にうんちをしやすいタイミングです。犬をトイレに入れて尿をしただけで犬を出してしまうと、うんちだけ外でしてしまう習慣をつけてしまうことになります。
食事後の排泄タイムはうんちとおしっこの両方が済んでから犬を出すようにしましょう。
今回紹介したうんちのしつけ方意外にも、犬のトイレのしつけ方について、『コレでバッチリ!犬にトイレのしつけをする正しい方法』の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
トイレのしつけは子犬の時から教わっていると覚えが早いですが、大きくなってからでも根気強く教えればしつけは可能です。
でも、排泄物の掃除は大変ですし、疲れて帰ったところに失敗されると「がっかり」したり「イライラ」してしまいがちですよね。
人間は感情のある生き物なのでつい叱ってしまったりすることもあるでしょう。でも続けて叱らなければ大丈夫ですよ。
犬の成犬の知能は人の3~4歳程度と言われています。時間をかけてゆっくり覚えていってもらおうと気長にしつけをしていけると良いですね。