猫のあごをなでていると黒いポツポツしたものに触れることはありませんか?腫瘍?怪我?汚れ?どれでもありません。それは猫ニキビといわれるものです。猫にもニキビがあるの!?と驚かれるかもしれませんが、猫もニキビができる動物です。
ただ、人間のニキビとは少し違います。命を脅かす病気ではありませんが、悪化すると膿皮症といわれる膿がたまることもあるので注意が必要です。
猫ニキビとは、主に唇からあごにかけてできる黒いポツポツのことです。黒いポツポツの正体は角栓で、炎症を伴うとネコ挫創ともいわれます。角栓の中は細菌が繁殖している可能性があります。
あなたの家の猫もあごをよく見ると黒いポツポツがありませんか?猫ニキビの症状は以下などが挙げられます。
- あごの黒いポツポツ
- あごの脱毛
- あごの腫れや出血
- 皮膚が硬くなる
- あごをしきりに気にする
今回は、そんな猫ニキビの適切な対処法と予防を紹介していきますね。
猫ニキビができた時の対処法
気づいたらニキビができていた!という時の対処法を紹介します。しかし、原因がわからないことには対処法もわかりません。先にニキビの原因を学んでおきましょう。
猫にニキビができる原因
簡単に言うと細菌が繁殖することが原因です。特に、角栓に分泌物や汚れ、皮脂などが溜まることで起こりやすくなります。猫がとてもきれい好きな動物であることは知っていますよね。
なので、グルーミング(毛づくろい)をよくしています。しかし、グルーミングができない箇所も、もちろんあります。特にあごの下は舐められないので、前肢で間接的にグルーミングをしなければならず、手入れのしにくい場所となります。
さらに、あごには皮脂腺が集中しているので脂っぽくなり、食べ物のカスなどの汚れが溜まり不潔になりやすいため、ニキビができやすくなります。そのほかの原因としては以下の理由などが挙げられます。
- 多孔性物質の容器での食事
- アレルギー反応
- ストレス
- グルーミング不足
- 皮脂の過剰分泌
- ホルモンバランスの乱れや投薬の体調変化
- 不衛生な環境
- ニキビダニ
では、それぞれについて詳しくみていきましょう。
多孔性物質の容器での食事
多孔性(小さな穴がたくさんある)の物質(特にプラスチック)だと、その穴で細菌が繁殖しやすいため、食事の時にあご下に細菌がつきやすいです。
アレルギー反応
食器のプラスチックや金属に対するアレルギー反応が起こることがあります。アレルギー反応が起こると、肌のバリア機能が落ちるため二次的にニキビになります。
ストレス
ストレスによって猫の免疫力が低下すると、通常であれば抑制できる細菌が抑制できなくなり、細菌が増殖してニキビになることがあります。
グルーミング不足
加齢や口内炎、歯周病によってグルーミング不足になると、細菌が繁殖してしまうとニキビになります。
皮脂の過剰分泌
食事に含まれている成分などで、皮脂が過剰に分泌されることがあります。皮脂は、細菌のエサになるため細菌が増殖してしまいます。
ホルモンバランスの乱れや投薬の体調変化
避妊や去勢、投薬によるホルモンバランスの乱れも猫ニキビを引き起こすといわれています。ホルモンなどの内分泌のバランスが崩れると免疫力が一時的に下がりニキビを引き起こします。
不衛生な環境
食器を洗わない、水を交換しないなど、飼い主側の問題で細菌の繁殖を手助けしてしまうこともあります。
ニキビダニ
ニキビダニは毛包虫(もうほうちゅう)ともいわれる寄生虫で、猫の毛穴に寄生しているといわれています。寄生されていても普段は無症状ですが、皮脂が多いと過剰に繁殖して引き起こされた炎症がニキビの原因になる可能性もあります。
何かしらの原因で細菌が増殖することがニキビの正体のようですね。さて、原因がわかったところで対処法について触れていきましょう。
猫のニキビの対処法
症状が軽度な場合は、患部の皮脂を取り除きます。ぬるま湯に浸したタオル(もしくは電子レンジで人肌程度に温めてもよい)でニキビをふやかして物理的に除去しましょう。ゆっくりと拭いてください。
あまりこすると逆効果になるので注意してください。顔を温めることで顔の血行を改善し免疫力を高めることができます。イソジンを5~8倍に薄めてコットンにつけて拭いてあげても効果的です。
除去できない場合には、動物用の薬用シャンプーを使いましょう。シャンプーのすすぎもしっかりと行い、乾いたタオルで水分を拭ききちんと乾かすことも大切です。湿ったままだと細菌が増える原因になります。
この方法は、軽症~中度の場合にのみ有効です。1週間たっても改善が見られない場合は動物病院へ連れて行きましょう。
これらの対処法を行っても改善がみられなかったり、赤くなって炎症や脱毛が見られる場合には、獣医師に診てもらいましょう。症状や状態によっては、消毒液や軟膏の塗布、投薬、薬用シャンプーで薬浴などを行います。
特に、ただのニキビではなく、白癬(はくせん)、カンジタ、自己免疫疾患、腫瘍などの皮膚疾患の可能性もありますので、獣医師に鑑別診断してもらいましょう。次は、ネットで紹介されている誤った対処法を紹介します。
お風呂嫌いな猫をおとなしくお風呂に入れる方法を、『猫をお風呂にいれる頻度はどのくらい?おとなしく入れる為にできること』の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
それはダメ!ニキビに対しての間違った対処法!
よく歯ブラシやピンセット、ストローで無理に皮脂を除去する動画がありますが、それは逆効果です。強引に皮脂を取り除こうとすると、角質に傷をつけてしまい膿皮症まで移行して悪化してしまうこともあります。
ただ、柔らかい歯ブラシで、直接皮膚に当たらないように、ソフトにブラッシングするように使うなら効果的です。さらに、人間用のニキビ治療薬を使用することは厳禁です。
なぜなら、人間のニキビと猫ニキビとは同じものではないからです。しかも人間用のニキビ治療薬によっては、猫に中毒を引き起こす危険性があるため、人間用の薬は絶対に塗らないでください。
ニキビを予防するためにできること
猫のニキビの予防策は、体や生活環境を清潔に保つことが一番です。あごは汚れやすく、グルーミングしにくい場所なので、まめにタオルで汚れを拭き取って清潔にしてあげましょう。
さらに、水や食事の容器をこまめに洗うことやプラスチック容器を穴の少ないガラスや陶器製に変えると細菌の増殖が抑えられるので予防になります。金属製の容器も穴が少ないですが、金属アレルギーの猫もいるので注意が必要です。
また、食事に含まれている成分が皮脂の分泌を過剰にしている可能性もあります。主成分が穀物やコーンなら、フードを切り替えてみるのもいいでしょう。
もう一度、生活環境を見直すことも大切です。ストレスが原因で免疫力が乱れているかもしれません。部屋の中で行きたがらない場所、最近変わった場所、犬の鳴き声、長すぎる留守番、近場の工事の音などいろいろです。猫にとってストレスフリーとなる最適な生活環境をもう一度考えてあげましょう。
ダニ予防もしっかりとしましょう。ニキビダニが原因の時は、ダニ予防をすることで改善することがあるので、獣医師が処方してくれるダニの駆虫薬などでニキビダニを抑えてみましょう。
ニキビダニは猫の皮膚に常在(健康な猫でも寄生している)しているため、完全に駆虫することはできないのですが、数を減らしたり増殖を抑制することはできます。
猫ニキビが命に関わることはあまりないのですが、悪化すると膿が溜まることもあります。とくに初期症状はあまりないので、日頃から飼い主さんが注意してお手入れしてあげることが大切です。
まとめ
猫ニキビの多くは軽症です。
しかし、悪化すると膿が溜まるまで重症化することや痛みや違和感で猫が気にして引っ掻き出血したり、細菌が入って二次感染を引き起こすこともあるので、長引くようなら病院に連れて行って獣医師に相談してください。