猫の健康診断の案内が、かかりつけ医から送られてくることがあるのだけど、猫の健康診断って必要なのかしら?と思われている飼い主さんは多いのではないでしょうか?
猫には健康でいてもらいたいから、健康チェックは必要なのかもしれないけれど、実際にはどんなことをして費用はどのくらいかかるのか不安ですよね。
そこで猫の健康診断について、一般的な内容とかかる費用をまとめて紹介していきたいと思います。健康診断を受けるか悩んでいる飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
猫の健康診断にかかる費用
健康診断を受ける頻度
健康診断は、猫の年齢によって受けた方がよい頻度が変わってきます。
1歳未満子猫
必要があれば随時行うのがおすすめです。子猫は体力もあまりなく免疫力も弱いので、いつもと様子が違い元気のない様子でしたら、すぐに動物病院にて健診を受けるようにしましょう。
ちょっとしたことがきっかけで、あっという間に衰弱してしまうこともありますので、体調の変化には気を付けるようにしてください。
成猫(1歳~6歳くらい)
持病がなく健康な成猫でしたら、1年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。病気予防のための混合ワクチンも1年に1回の摂取が好ましいので、それと同時に健康診断を受けることをおすすめします。
高齢猫(7歳以上)
7歳というとまだまだ元気いっぱいだとは思いますが、身体の老化は始まってくる頃です。健康な状態を長く続けるためにも、半年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。
基本の健康診断
猫の定期的な健康診断は、どんな項目を検査するのかは動物病院によって違いがありますが、どこでも行う基本的な項目を3つあげていきます。
- 身体測定(体重測定・触診・聴診)
- 血液検査
- 尿便検査
これらの基本内容のみを受ける場合には、診察料も含めて5000円~7000円程で行っている病院が多いです。
その他の健診項目
基本の健診以外にも様々な検査があります。そのなかのいくつかを、一般的な費用と共に紹介していきますが、何が本当に必要なのかはその時の猫の年齢や体調によって変わってきますので、動物病院にてよく相談したうえで判断をするようにしてください。
- レントゲン検査(呼吸器や心臓など内蔵の撮影を行います)
→3000円 - 超音波検査(レントゲンでは判断がつきにくい場合実施します)
→3000円 - 心電図(心臓の動きを確認します)
→3000円~5000円 - 眼科健診(緑内障や白内障の検査をします)
→3000円~5000円 - 歯科健診(歯茎のチェック・頭部レントゲン・歯石除去)
→5000円~15000円
猫も高齢になってくると身体に不調が出てくることも多くなりますので、高齢になるに連れて検査項目が増えていく可能性もあります。
猫の健康診断でわかること
身体測定
健康診断をしていくことは、猫の健康をチェックするうえでも大切なことですが、実際に健康診断を行うことで一体何が分かるのかを紹介していきましょう。
まず身体測定では体重を測定し、その後猫を実際に診察台の上に立たせてみて、片方に体重がかかってはいないか、首をきちんと持ちあげていることができるかなど立ち姿を確認します。
次に直接猫の身体に触れて関節の動きや、しこりの有無、背骨の様子などを確認し、最後に聴診器を使用して胸の音を確認するのが一般的な流れです。
血液検査
一般的な血液検査では、下記のようなものを調べます。
- 貧血の有無
- ホルモン異常
- ウイルス感染の有無
- 体内の炎症
- 肝臓、腎臓、脾臓の異常有無
血液検査は、多くの情報を得ることができることから最も重要なものといわれています。特に高齢の猫は、肝臓や腎臓などに不調をきたすことが多いので、血液検査でその状態を確認しておくのはとても大切なことです。
猫エイズや猫白血病なども、血液検査をすることで感染の有無が確認できます。
これらは感染しているからといって、必ず発症する病気ではありませんが、その時の状態に合った治療をすすめながら経過観察を行う必要があり、多頭飼いをしている場合には必要に応じて隔離などの対策をとる必要があります。
その為にも、血液検査は定期的に受けておく必要があります。
血液検査の結果を病院から貰うと、たくさんの数値が記載してあり、異常はないですと言われても、あまりピンとこないのが正直なところではないでしょうか。
そこで猫の血液検査における平均的な正常値を記載しておきますので、血液検査の結果が出ましたら見比べてみてください。
- 総蛋白→5.8~8.9g/dl(下痢や嘔吐、肝臓疾患があると高くなります)
- アルブミン→2.3~3.8g/dl(数値が高いと脱水症状、低いと肝疾患や栄養不足が疑われます)
- A/G比→0.42~1.09(低いと慢性炎症や肝臓疾患が疑われます)
- 総ビリルビン→0.0~0.1(高いと肝胆道疾患が疑われます)
- 総コレステロール→67~232mg/dl
- 中性脂肪→16~101mg/dl
- カルシウム→8.8~11.1mg/dl
- 血糖→63~132mg/dl
これらは、検査後に説明をしてくれる際の平均的な数値になりますが、あくまでも平均であって猫種や年齢によって適正な数値は変動します。
猫のその時の体調によっても結果が変わってしまうこともありますので、あくまでも参考程度にとどめ、数値だけを見て自己判断せずに獣医師の説明をよく聞くようにしてください。
猫の血液検査については、『猫の血液検査でかかる費用を紹介!血液検査でわかる内容・項目とは?』の記事で更に詳しく解説していますので、ぜひ合わせて参考にしてみてください。
尿便検査
尿検査では、膀胱炎や腎不全などの症状が出ていないかを確認することができ、検便では体内に寄生虫がいないかを調べるのと共に、腸内細菌のバランスを確認して消化器官に異常がないかを確認することができます。
その他の検査
レントゲン・超音波
レントゲンは動物用も人間用も大きな違いはありません。骨折した恐れのある時や、表面的に触っただけでは分からない臓器の様子を確認するために行います。
超音波については、レントゲンよりも更に詳しく、臓器の状態や腫瘍の有無を確認するために行うことが多いです。
心電図
心電図は、聴診やレントゲンの検査を行った際に心臓に関係する病気が疑われた場合に行います。その他にも、すぐに息切れしてしまう猫や、咳をする様子が苦しそうな場合に医師の判断で行うことがあります。
心臓病が疑われる場合には、心電図だけではなく血液検査やレントゲン、超音波の検査など様々な検査を実施したうえで、それらを総合的に判断して診断がくだされる場合が多いといえます。
眼科健診
目に関わる病気は早期発見・早期治療がとても大切で、猫の異変に早く気が付くことで視力を失うようなことが避けられる場合もあるのです。
- 目が白っぽく濁ってきた
- 何もないのに涙を流す
- 目をやたらにこする
- 左右の目の瞳孔の大きさが違う
- 眼球が大きくなったような気がする
これらの症状が見受けられた場合には、早めに検査を受けるようにしましょう。眼科健診は、猫の眼圧を測定したり、涙の分泌量を調べたりします。
猫の目に目やに、涙が多くなってきたと感じたらそれは結膜炎かもしれません。詳しくは、『猫に目ヤニや涙が出てきたら結膜炎かも!?その原因と治療法』の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
歯科健診
歯科健診では、歯と歯茎の状態を見て、歯石が付いていないか歯肉炎にはなっていないかなどを確認していくのが一般的です。
歯石が付いていると、そこから細菌が繁殖し歯肉炎の原因にもなってしまいますので、必要に応じて歯石除去を行います。
これは麻酔をかけて施術する病院も多いですが、高齢の猫の場合は麻酔をかけることで身体に負担がかかってしまいますので、施術自体ができないこともあります。
若いうちから歯石が付かないようなケアをしていき、定期的にチェックをしてもらうと安心でしょう。ただ、子猫から行っていかないとなかなか歯磨きをさせてくれません。
そんな時はどうやって歯磨きをすれば良いかを、『猫にも歯磨きをしてあげて!正しい歯磨き方法を解説』の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
猫の定期健診の内容や、それにかかる費用などについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。現在猫は長寿化傾向にありますので、健康に問題のない成猫の間に信頼のおけるかかりつけ医を見付けておくといいでしょう。
定期的な健康診断をそこで受けておくことで、猫の具合が悪くなった時などに今まで健診してきたカルテ内容が、病気の早期発見や治療にも役立つことがあるからです。
猫の健康維持のためにも、ぜひ定期的に健康診断を受けるようにしてください。