古くから人間のパートナーとして共に生活してきた柴犬ですが、今では日本国内だけでなく海外でも人気の犬種となっています。
何故柴犬がここまで人気なのかご存知でしょうか?
今回は、柴犬の歴史から始まり、その魅力や種類まで詳しく紹介していきますので、是非柴犬の魅力を知ってくださいね。
目次
柴犬の歴史
柴犬とは
柴犬は古来より猟犬として日本各地で飼育されていた犬種で、日本固有の6犬種(柴・甲斐・北海道・秋田・紀州・四国)のなかでは、唯一の小型犬です。
その飼育しやすい大きさと、賢く飼い主に忠実な性質が多くの人から好まれ、現在日本国内で飼育されている日本犬のおよそ80%が柴犬だといわれています。
海外でも飼い主に忠実な性質が大変好まれ、「シバドッグ」などの愛称で親しまれているだけでなく、飼育数も年々増えてきているようです。
天然記念物である柴犬
日本では、明治時代に入った頃からたくさんの洋犬が輸入されるようになってきたそうです。
その洋犬と日本犬である柴犬の交配がまたたく間に広がり、古くから伝わってきた柴犬のよさが血統の雑種化と共に段々と失われていくようになりました。
これに危機感を抱いた人たちにより日本犬を保存していくための「日本犬保存会」が設立されたといわれています。
- 1928年:日本犬保存会設立
- 1934年:日本犬標準が制定
- 1936年:柴犬が天然記念物に指定
日本犬保存会が日本犬を守るために、日本犬標準基準を制定したことにより、柴犬の特性が現在もきちんと受け継がれています。
しかし、このように血筋を後世に受け継いでいこうと努力をしていたにも関わらず、1952年に国内にて大流行したジステンバーと第二次世界大戦後の食糧難の影響で、柴犬は一時期絶滅の危機に陥ったこともありました。
柴犬保存運動
柴犬絶滅の危機をどうにか免れるためにと、各地域に生存していた柴犬を一箇所に集めさせ交配を行いました。これが柴犬保存運動となります。当時柴犬は、その生息する地域ごとに少しずつ特徴が違っていました。
しかし、地域の特徴を考慮する猶予もなく交配を行ったために、柴犬絶滅の危機を免れることはできましたが、際立った特徴は平均化される結果となってしまったといわれています。
各地域の特徴を持った柴犬は、現在も極少数ではありますが生息していますので、そちらについては後の項目にて詳しく紹介していきましょう。
柴犬の魅力
忠誠心の強さ
柴犬は自分がご主人と決めた人に対して、強い忠誠心を持ち常に従順な態度を取ります。
その反面、家族以外の人には強い警戒心を持ち、時には攻撃的な面を見せることもあるでしょう。この性質は番犬として飼育するには最適といわれています。
このような、飼い主さんにだけ従順な姿勢が、海外では特に人気を集めている要因だといわれています。
甘え上手
猟犬気質の攻撃的な性質を持つ柴犬も、飼い主さんに対しては可愛らしく甘える仕草を見せてくれるでしょう。
嬉しい時には尻尾をちぎれんばかりに振り、体全体を使って喜びを表現する姿は本当に可愛らしいです。
そんな姿は飼い主さんや家族などの一部の人にしか見せませんので、そんなところも大きな魅力の一つなのかもしれません。
飼っている柴犬がなついてくれない時は、『柴犬がなつかない…そんな時の柴犬と仲良くなる方法を紹介!』の記事も合わせて参考にしてみてください。
賢くしつけがしやすい
柴犬は学習能力が大変高く、しつけのしやすい犬種といわれています。トイレトレーニングや、散歩時の歩き方、伏せなどの指示も含め覚えが早い子が多いです。
覚えたことは1日に1回繰り返すだけでも忘れることはしませんので、排泄物の粗相をすることもほとんどありません。
最近室内で飼育する人が増えてきているのは、このしつけのしやすさと、学習能力の高さにあるといわれています。
柴犬の飼い方については、『柴犬の飼い方完全ガイド!初心者でも柴犬の飼い方をマスターしよう!』の記事で更に詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
お留守番が得意
柴犬は忠誠心が強いだけでなく独立心も大変強い犬種です。この強い独立心からなのか、自分だけで過ごす時間を大切にしているといわれています。
そのため、飼い主さんの外出時に独りでお留守番をしなければならない時でも、それを苦に思うことはあまりありません。
我慢強い面もありますので、飼い主さんの帰宅をじっと大人しく待つことができるでしょう。
柴犬の種類
柴犬の被毛は4種類
柴犬の被毛の種類には、「赤・黒・白・胡麻」の4種類があります。
赤
現在飼育されている柴犬のほとんどがこの「赤」の被毛になり、全体数のおよそ80%となります。
「赤」のなかにも濃さは色々とありますので、色の違いを楽しむことができるでしょう。
黒
最近特に人気の色ではありますが、全体数の15%ほどです。つやのない鉄サビ色のような黒が本来の理想色となります。
顎の下の辺りから尻尾まで白い被毛でラインが入っているのも特徴で、子犬のころには黒と白の被毛色の違いがあまりはっきり分からないこともありますが、成長するに連れて色の違いが明確に分かるようになっていきます。
白
基本的には白一色ですが、なかには耳の辺りに赤が少し混ざっているような場合もあるでしょう。
白毛の柴犬は突然変異などのメラニン欠乏ではなく、白毛の遺伝子が強く出ることで産出されます。白毛の柴犬は残念ながらスタンダードカラーとして登録はされていません。
胡麻
赤白黒の三色の被毛がすべて混ざっている被毛を持つ場合に、胡麻と表現します。
このカラーは考慮して産出できることはほとんどありませんので、偶然産まれるのを待つしかなく希少価値であるといえるでしょう。
柴犬の分類を知っておこう
先に紹介したように、柴犬保存運動が起こる前までは各地域にはそれぞれの特徴を持つ柴犬が生息していました。それらについて詳しく紹介していきます。
信州柴
柴犬が絶滅危機に陥った時に、最も多く生存していたのがこの信州柴で長野地方に多く生息していました。
そのため、現在飼育されている柴犬の多くがこの信州柴の祖先であるといってもいいでしょう。タヌキのような丸顔と丸みのある体のラインが特徴といえます。
筋肉質でもあるために、小型でありながらガッシリとした印象を受けるでしょう。
美濃柴
岐阜地方に生息していました。美濃柴の大きな特徴は、被毛が赤一色というところにあります。白や黒の混ざったものは一切存在せずに、深みのある緋赤が大変美しいです。
現在では、生存が確認されているのは150頭ほどで、少ない頭数のなかでも繁殖をしていますが年間の産出は20頭ほどが限界といわれています。
山陰柴
その名の通りに山陰地方に生息していました。現在多くいる信州柴と比較すると、細身であり耳も少し小さめです。
山陰柴も美濃柴同様に生存頭数が少なく、現在は保護活動が活発化しています。
しかし、発情期が他の柴犬と比べると短く、1度の出産で1匹しか産まれないこともある面を考えると、今後頭数が増えていくのは厳しい状況だといわれています。
三上犬
柴という名は付いていないのですが、柴犬の一種です。長野県の三上村に生息していました。こちらも頭数は少なく、現在確認されているのは300頭ほどになります。
豆柴とは
小さくて可愛い「豆柴」は、ここ数年大変人気があり価格も高騰傾向にあります。
正確にいいますと、豆柴は比較的小さい柴犬同士を掛け合わせて作られた柴犬で、「豆柴」はあくまでも俗称となり、「豆柴」という犬種は現在正式には存在しません。
豆柴のサイズ
標準的な柴犬と豆柴のサイズの比較をしてみましょう。
- 柴犬 体高:35~40㎝ 体重:7~10㎏
- 豆柴 体高:30~32㎝ 体重:4~6㎏
柴犬のメスでかなり小柄なタイプと、豆柴の平均値最大サイズがだいたい同じ大きさであるといえます。
柴犬との違い
豆柴はあくまでも小さい柴犬ですから、性格の特徴や被毛の種類も柴犬とほぼ同じといってもいいでしょう。
警戒心や忠誠心の強さだけでなく、学習能力の高さに関しても柴犬と同等といえます。
寿命
柴犬の平均寿命は14~16年といわれていますが、豆柴の場合はこれよりも数年短く10~13年程度でしょう。
ただし、寿命に関しては個体差や飼育環境によって大きく変わってきますので、一概に柴犬よりも寿命が短いとは言い切れません。
あくまでも平均と捉えるようにしてください。
飼育時の注意
豆柴に関してはきちんとした規定などが一切存在していませんので、実際に成長をしてみないと本当に豆柴と呼ばれるほどに小さいのかは分かりません。
たまたま産まれた時に小さめのサイズだった子犬を「豆柴」と称して販売しているブリーダーも実際に存在しているようです。
近親交配などをせずに、豆柴サイズの柴犬を産出しようと真面目に取り組んでいるブリーダーももちろんいらっしゃいます。
ただ、何世代も前の遺伝子が突如強く出て、意外と大きく成長してしまったという例もなかにはありますので、豆柴の飼育を希望するのであれば、その辺のリスクを踏まえたうえで検討を重ねるようにしてください。
柴犬を飼っていると、柴犬あるあるというのが出てきます。そんな柴犬のあるあるを『わかるわかる!柴犬のあるある特集』の記事で紹介していますので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
まとめ
長年にわたって人気の高い柴犬について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
よその人には愛想のない柴犬も、飼い主さんの前では驚くほどに甘えてきますので、そのギャップも人気の秘密かもしれません。
学習能力が高くしつけもしやすいので、初心者の方にも飼いやすい犬種といえるでしょう。