猫が急に食欲がなくなってしまうことってありませんか?朝は食べなくて心配したけれど、夜は普通に食べるようであれば問題ないことが多いですが、丸一日食べてくれないととても心配になってしまいます。
実はそんな時には、明日には食べるかしら?などと、のんびり構えていてはいけない場合もあります。
今回は、猫が絶食をしてしまうとどうして危険なのかを紹介していきますので、猫が食欲不振になった時のために是非覚えておいてくださいね。
目次
猫が絶食すると危険な理由
病気の可能性
猫の食欲不振には、その原因に病気が隠されていることが多くあります。成猫の場合、食事も食べず水も飲まない絶食の状態が24時間続いたら、注意をする必要が出てきます。
ただし、子猫の食欲不振の場合には、24時間よりももっと早くに注意をする必要があるでしょう。
- 生後1ヶ月~2ヶ月:8時間
- 生後2ヶ月~3ヶ月:12時間
- 生後3ヶ月~4ヶ月:16時間
- 生後4ヶ月以上 :18時間
これ以上の時間絶食が続くようであれば、その原因を早急に確認し必要に応じて速やかに動物病院に連れて行くようにしてください。
絶食以外の症状
病気が原因で食事を取らない場合、食欲不振以外にも症状が出ることがあります。
- 毛並みが急に悪くなる
- 餌を食べてもすぐに吐き出す
- くしゃみや咳をする
- 鼻水が出る
- 便秘または下痢になっている
これらの症状が合わせて出ている場合には、何かの病気である可能性が大変高いので、早めに動物病院にて診察を受けるようにしましょう。
肥満気味の猫は要注意
肥満気味の猫は普段から食事をたくさん食べているから、多少絶食しても大丈夫なのでは?と思う飼い主さんがいるようですが、これは大きな間違いです。
肥満気味な猫の場合、絶食時間は36時間が限度だといわれています。これは、絶食状態が長く続き体内にエネルギーが入ってこないと、猫の身体のなかでは脂肪をエネルギーに代えようと肝臓へ脂肪を動かそうとするそうです。
その結果肝臓を脂肪が覆ってしまい、肝機能障害を起こすきっかけになってしまうといわれています。
これを肝リピドーシスといい、食欲がないだけだからと様子を見過ぎているうちに症状が悪化し、命に危険を及ぼすような状態になってしまうこともありますので、特に肥満気味の猫の食欲不振からくる絶食には十分注意を払う必要があるでしょう。
肥満気味な飼い猫の正しいダイエット方法について、『肥満気味!?猫にダイエットを正しくさせる方法』の記事で詳しく紹介していますので、肥満解消をしないといけない時の参考にしてみてくださいね。
高齢猫の食欲不振
高齢猫の食欲不振の原因には、口の中に問題があることも多いです。食事を食べたあとの食べカスが口のなかに残っていると、そこから細菌が繁殖し歯周病などになってしまうことがあります。
歯周病が悪化して歯茎が腫れてしまったり、歯がグラグラしていたりするとそれを痛がって食事するのを嫌がるようになるのです。
高齢になるとただでさえ食事を取る量が少なくなっていきますので、くれぐれも絶食状態が続かないように気を付けるようにしてください。
- 食事の時にお皿の周りを散らしながら食べる
- 口からフードをやたらにこぼす
- 顔をしかめながら食べる
- 食べる量が減っていく
- いつもよりよだれを多くたらす
このような症状が見られるようになりましたら、動物病院にて猫の口のなかをチェックしてもらうようにしましょう。
食事の時に痛がるほどグラついてしまっている歯は、もう元には戻りませんので思い切って抜歯してもらうほうが、歯茎に細菌が繁殖して化膿する心配もなくなります。
フードはやわらかい物を与えればすむことなので、獣医師とよく相談して対処するようにしてください。本来であれば、こうならないように定期的に口腔内をチェックしてもらうのがおすすめです。
猫の歯を守るためにも歯磨きをちゃんとしてあげましょう。猫の正しい歯磨き方法について、『猫にも歯磨きをしてあげて!正しい歯磨き方法』を解説の記事で動画付きで解説しています。
食欲がない時の対処方法
朝も夜も食事を食べなかった時には、少しでも食べられるように工夫をしてあげましょう。ドライフードを毎日与えているようでしたら、ぬるま湯でふやかした物を少し温めて与えてみてください。
温めることで匂いが出てきますので、その匂いにつられて食欲が出て食べてくれることがあります。
その他には、缶詰などのウェットフードを与えてみるのも効果があります。
ただし、よく食べてくれるようになったからといって、ウェットフードばかりあげていると、カリカリのフードを一切食べなくなってしまうことがありますので、そうならないように食欲が出てきましたらウェットフードにカリカリを混ぜて、その配分を徐々に変えていくなどの方法で与えていきましょう。
病気以外の可能性
猫は意外と繊細な気質を持っていますので、病気以外の原因でも食欲不振になることがあります。
ストレスによる食欲不振
住まいの引越しや、新しい猫が家族に加わる、飼い主さんに家族が増えるなど生活環境の変化がストレスとなり、食欲不振になってしまう猫もいます。
この時には、トイレ以外の場所で排泄をするようになったり、自分の身体をしきりに舐めたりするなど食欲不振以外の行動も同時に出ることが多いので、病気との区別はつきやすいかもしれません。
ストレスからくる食欲不振は、その原因が解消されない限りは改善されず、絶食が続いてしまう場合がありますので、早めにストレスの原因を取り除く対処をするようにしてください。
原因改善まで時間がかかるようであれば、いつものフードに飼い猫の好きな缶詰やおやつなどのウェットフードを少しだけトッピングしてあげるなど、変化をみせて食事に誘ってみてあげましょう。
わがままによる食欲不振
療養食などのフードに切り替えた時や、カリカリのフードのみをあげた時だけ食べないなどの単なるわがままで食欲不振になることもあります。
療養食の場合には、食べなくなってしまう猫は多いですが、これは獣医師と相談しながら対処していくしか方法はありません。
それ以外の単なるわがままでしたら、フードをふやかしてあげるなど工夫をすると食べてくれることもあります。
猫がなかなかご飯を食べてくれない時の対処法を、『猫が餌を食べない!?こんな時の考えられる原因と対処法』の記事で詳しく紹介していますので、ご飯を食べてくれなくて困る場合にはぜひ参考にしてみてください。
手術前後は絶食をした方が良い理由
手術前は絶食が基本
猫の絶食は危険というお話をここまでしてきましたが、どうしても絶食しないといけなくなるのが手術です。
手術というと、避妊や去勢などが一般的ですが、骨折をした時などにも手術をする場合があります。麻酔を伴う手術を行う時には、その手術開始の12時間前くらいから絶食をするのが基本です。
水に関しては、全く飲ませないように指示されることもあれば、朝起きて一口程度なら許可が出ることもあります。いずれにしても手術を受ける動物病院の指示に従うようにしてください。
何故絶食?
手術前に絶食をする理由ですが、麻酔をかけた時にその影響で吐いてしまう猫がいるからだといわれています。
麻酔をした状態で吐いてしまった場合、胃のなかに残留物がなければ胃液のみが吐き出されますので、気管などに詰まる心配はありませんが、胃に残留物があるとそれが気管に詰まって窒息をしたり、誤嚥性肺炎になってしまったりすることがあるため、胃のなかを空にしておく必要があるのです。
空腹を紛らわすには
手術前の絶食は、何も分からない猫にとっては不満以外のなにものでもありません。飼い主さんに、餌を要求して鳴き続ける猫もいます。
この猫の要求に負けてしまい、少しだけならとおやつなどを与えてしまう飼い主さんもいますが、手術中の事故を防ぐためにもここは絶対に猫の要求に負けてはいけません。
どうしても猫が騒がしく鳴くようでしたら、おもちゃなどで遊びに誘い気を紛らわしてあげてください。
猫の去勢手術や避妊手術については、『メス猫が避妊手術をする時の流れと術後に飼い主が気をつけておきたいこと』と、『猫の去勢手術はいつがベスト?気になる費用の相場や流れ』の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
猫の絶食が長く続くと、どうして危険なのかを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
食事を食べないということは何かしらの体調不良であることが多いので、もう少し早く手を打っておけば良かったなどと後悔しないように、あまり様子を見過ぎないことが大切です。
ただ、猫も人と同じで食べたくない気分の時もあると思いますので、食べないからといってすぐに慌てるのではなく、いつもと何か変化がないかなど、猫の様子をよく確認して対応するようにしましょう。